News 2001年1月17日 07:50 PM 更新

敵はアマゾンにあらず――BOL田中社長

ビー・オー・エル・ジャパンの田中功社長は,オンライン書店同士でシェア争いをするのではなく,出版業界全体で市場を活性化させることが先決だと語った。

 昨年はAmazon.comが上陸するなど,国内でもいよいよオンライン書店の動きが活発化してきたが,「BOL」を運営するビー・オー・エル・ジャパンの田中功社長によれば,オンライン書店にとっての最大の課題は,シェア争いではなく,読書よりも携帯電話で友人と話をしたり,TVゲームに没頭することを好む日本の若者にどうやって本を読ませるかだという。

 Amazon.co.jpの登場は,国内オンライン書店にとって脅威だと見る向きが多い中,田中社長は「どのオンライン書店が勝ち組みか負け組みかという議論は時期尚早。大事なのは,オンライン書店の勢力争いではなく,長期にわたって低迷が続く市場を出版業界一丸となって活性化させることだ」と強調する。「昨年,BOLでスティーブン・キングの作品を先行販売したところ,書店の売り上げを喰ってしまうのではないかと指摘された。ただ,この作品は書店でも好調な売れ行きを見せている。オンライン書店がプロモーションの役割を果たしたと言えるだろう」(同社長)。

 なお,田中社長によれば,Amazon.co.jpがサービスを開始した11月以降も,BOLの売り上げが減少することもなく,順調に成長を続けているという。ただ,昨年のクリスマス商戦については,「特別キャンペーンを行ったが,売上は普段とそれほど変わらなかった。やはり,日本にはプレゼントに本を贈るという習慣はなかったようだ」と振り返る。

配送料は大きな要素

 田中社長は,市場シェアを語るのはまだ早いとしながらも,Amazon.co.jpへの対抗策を語るのを忘れたわけではない。

 現在,Amazon.co.jp,BOLともに国内配送料無料キャンペーンを展開中だが,どちらも1月末で終了となる。田中社長は今後の計画について,「一定料金を超えた場合には無料にして,それ以下は有料という形式を考えている。ただ,有料にするといっても,ほかのオンライン書店よりは安くする」とアピール。また,同社経営企画部の泉浩人部長は,「現時点では,コンテンツで他社との差別化が図りにくく,配送料はユーザー獲得にとって大きな要素となる」と強調する。

 また田中社長は,CD/DVDタイトルの取り扱いについて,CDはCDNOWと協力して今月末より,DVDタイトルは2001年末までに開始する予定であることを明らかにした。

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[中村琢磨, ITmedia]

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