News 2001年2月22日 11:59 PM 更新

奇妙な林檎

水玉と花柄のiMacである。おまけにiCEOがスーツ姿である。今年のMacWORLDはひと味違う……のか?

 拍手とともに壇上に上がったAppleのiCEO,Steve Jobs氏は,明らかにいつもと違っていた。普段なら基調講演だろうとなんだろうとラフな恰好でいるのに,今日に限って黒のスーツに身を包んでいたのだ。しかも白いネクタイまでご着用である。巨大な基調講演会場に何ともいえないざわめきが起こり,隣に座っていた若い女性記者が「珍しい……」とつぶやいた。おそらく,その場にいた全員が同じ印象を抱いていたに違いない。


Photo:荻窪圭

 スーツを着ただけで観客を驚かせる最高経営責任者というのも奇妙なものだが,とりあえず,七五三の帰りに見えてしまいそうなBill Gates氏よりは遙かに似合っていたと思う。

 もっとも,発表された新製品は,Jobs氏のいでたちとは対照的なものだった。「Mac OS X」や出荷されたばかりの「PowerBook G4」「Power Macintosh G4」などを一通り紹介し,NVIDIAの「GeForce 3」発表でひとしきり盛り上がったあと,「ちょっと予想外かも……」と前置きしたJobs氏が披露したのは,強烈なインパクトを持った2つのiMac。スノーをベースに淡い花柄をあしらった「Flower Power」,そして「102」に出てくるダルメシアンよろしく,青い斑点のまだら模様が印象的な「Blue Dalmatian」だ。しかも,これらの模様は,表面シルク印刷ではなく,プラスチック素材で成型したパターンだという。Jobs氏いわく「一年半前から考えていた」。色のバリエーションを一巡したら,パターンに変更したのが何とも潔い。このままいったら,次はピクチャーでも張り付けそうだ。


Flower Power。後ろ側もこの通り


こちらはBlue Dalmatian

 しかし,ここで気になったことがある。それは,iMacの需要見通しにAppleが疑問を抱いているのではないかということ。

 製品寿命が極端に短いPC業界にあって,既に初代機が発売されてから2年半が経過しているiMacは支持を受け続けてきた。その要因は,なんといっても個性的なデザインと鮮やかなボディカラーだ。

 これに対して,今回のiMacはあまりにもニッチだ。少なくとも,男性をターゲットにはしていない。新iMacの購入層は女性,それも若年層だろう。その中でも,好みは明らかに分かれる。好きな人にはたまらないが,気に入らない人はとことん嫌いそうな柄だ。実際,ネット上では既にお気に召さなかった人たちが「おばちゃんのワンピース」「セルロイドの下敷き」「花柄のファンシーケースをおいた四畳半」などなど,かなりキビシー評価をくだしている。はたして,この傾向は日本だけだろうか?

 一方,iMacの独特の形状を好むユーザーには,この2年半で一通り行き渡ったという見方がある。その人気ゆえに普及も早く,初代機の買い換え需要はまだ期待できないだろう。色を変え,CD-RWドライブも手に入れたものの,さすがに3年目は息切れしてもおかしくはない。とりあえず,これまで人気の高かったグラファイトとインディゴは残し,かつ従来とは異なるユーザー層に訴求するため,あえてニッチ化の道を選んだのではないだろうか。だとしたら,ニッチな市場の次にくるものは何か。よりニッチか,はたまた,再度ボリュームゾーンへ訴求するための大変化だろうか?

 ところで,最後にiCEOがスーツ姿だった理由を推測してみよう。

  1. 前四半期の業績が良くなくて株主に怒られたから
  2. お気に入りのブランドからスーツをプレゼントされたから
  3. 基調講演の後で結婚式に出席するため
  4. 普段着はすべてクリーニング中だった
  5. ただの気まぐれ

 本命は5,対抗が1とみているが,はたして真相はいかに?

[芹澤隆徳, ITmedia]

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