News | 2001年3月1日 11:58 PM 更新 |
モバイルに固定電話,さらに市内電話から国際までと広範な事業分野を抱えるKDDIは,将来的にすべてのサービスをIP化し,統合する計画を持っている。パシフィコ横浜で開催中の「IP.net」で講演を行ったKDDIネットワーク事業統括本部副統括本部長の平田康夫専務は,「IP事業とモバイル,ネットワークを三位一体として,シナジー効果を出す。これがわれわれの基本的な戦略だ」とした。
同社がIPネットワーク戦略の骨子として掲げているのが,以下の5つ。
○国内・国際IPバックボーンの増強
○多様な手段によるブロードバンドサービスの展開
○コンテンツ配信
○VoIPやVODといったアプリケーションの展開
○トータルソリューションとサポートの提供
これらすべての基盤となるのが,KDDIのIPバックボーン「PERSEUS」だ。PERSEUSは,光ネットワークを基盤とし,OXC(Optical Cross-connect:障害発生時にトラフィックを迂回させる機能を持つ光スイッチ)とDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重)の採用による大容量バックボーンを構築。その上でMPLS(Multiprotcol Label Switching:特定の宛先やIPアドレスにラベルを与え,その情報をもとにスイッチングする技術)によるサービス別のQoS(Quality of Service:サービス品質保証)制御を行うというもの。これにより,PERSEUSのエッジネットワークでは,音声,データ,そして移動体のサービスがすべてIPベースで統合される。
「既にコアとなる光ネットワークは構築済みだ。今後10年に渡り,IPv6,OCXの導入,そしてDION系アクセスサービスの統合を進める。最終的には,光による完全なインテリジェントネットワークとなる」(同社)。
一方,アクセス系については,「FTTHの展開を軸に据え,積極的に推進する」(平田氏)構え。ただし,すべて自前で行うには時間がかかりすぎるとして,現在はNTT東西地域会社の「フレッツ・ADSL」および「光・IP通信網サービス(仮称)」を足回りとした「B-DION」(ブロードバンドDION)(1月29日の記事を参照)を展開している。
自社のアクセス回線を使うサービスとしては,まず法人向けの,「DION Business DSL」を3月1日に開始。ADSLを提供できない地域などに向けては,FWA(Fixed Wireless Access)を「補完的かつ即応的なアクセス手段として活用する」(平田氏)方針だ。
一方,FTTHサービスは,「東京と政令指定都市を皮切りに,来年のなるべく早い時期に開始したい」(平田氏)。その際は,すべてのアクセス回線を自前で調達するのは困難という判断から,CLECとの連携を積極的に行うという。
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