News 2001年3月2日 03:30 PM 更新

Intelが次世代PCに向け新I/O技術を開発へ

Intelはサンノゼで開催のIDFで「ISA,PCIに続く第3世代I/Oアーキテクチャ」の必要性を訴えた。8月末の次期IDFで技術の発表がある。

 Intelデスクトッププラットフォーム担当副社長のLouis Burns氏は,米カリフォルニア州サンノゼで開催中の「Intel Developers Forum(IDF)Spring 2001」で,これからの10年を支えるプラットフォーム技術について語った。Burns氏は,かつてのISA,そして現在主流のPCIに続く,次世代を支える業界標準の高速I/O技術が必須であると訴え,今年8月末に予定されている「IDF Fall 2001」でそうした技術の発表を行うと明らかにした。


IDFで高速I/O技術の重要性を訴えるIntelデスクトッププラットフォーム担当副社長のBurns氏

 Burns氏は1981年に登場したIBM PCと,20年後の今日のPCのスペックを比較し,その間にはさまざまなイノベーションが起きたと語った。そしてこれからの技術としてUSB 2.0や802.11bの無線LANについて言及。無線LANについては家電との接続への応用を提案した。

 デモではDVD再生を行うPCとIEEE 1394に対応した無線LANの基地局を用い,基地局に接続したテレビモニターにIEEE 1394を通じてDVD画像を再生させていた。Intelは802.11eと呼ばれる,無線LAN上でQoS(サービス帯域を保証するためのプロトコル)を実現する規格策定に参加しており,IEEE 1394のトラフィックを802.11の無線LANを使って流す「1394 Over 802.11」実装を進めるなどの取り組みを行っている。

 さらに1980年代に開発されたISAを例にとり,「ISAで不足する機能や性能を補うため,MCA,EISA,VL-Busなどの亜流が登場したものの,いずれもISAの次の10年を担うには不十分なものが多かった。そこに1990年代を担う技術としてPCIが登場した」(Burns氏)と説明。

 PCIはその後,グラフィックス,ストレージなどさまざまなI/Oの標準として普及。チップセットの相互接続にも利用されている。しかし,それも性能や機能の不足から,かつてのISAと同じように亜流が登場してきている。「例えばAGPはグラフィックスに特化させたものだし,われわれのチップセットがチップ間の相互接続に使っているHub Link,あるいはPCI-Xなども,標準PCIの不足を補うために生まれた。しかし,これらはいずれも次代の標準を担う技術ではない。かつてのPCIがそうだったように,これからの10年を担う新しいI/O技術が必要になる」とBurns氏。

 I/O技術にはいくつかの物理的な限界があり,例えばパラレル転送方式のバスでは1GHzあたりが限界になる。また,12GHzあたりには,銅線による電気信号の伝達を行う上での限界が存在する。Burns氏が言うところの「ISA,PCIに続く第3世代I/Oアーキテクチャ」は,パラレルの限界を超え,銅線によるデータ転送の限界までの位置を占めるものになるという。

 第3世代I/O技術に必要な要素として,Burns氏は完全なシリアル転送技術であること,ポイント間接続が可能なこと(つまり帯域共有ではないこと),ピン当たりの帯域を最大化する方向での規格であること,10GHz以上の転送サイクルまでスケーラビリティを持つこと,接続にフレキシビリティがあること,さまざまな市場に応用できる技術であることなどを挙げている。

 そしてIntelは,こうした要件を満たすため,高速なシリアルインターコネクト技術の開発を行っている。そのごく初期の仕様は,今年8月末に行われるIDFで公開される予定だ。

[本田雅一, ITmedia]

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