News 2001年3月2日 11:49 PM 更新

CRTディスプレイが予想を覆す大幅な伸び──2000年の周辺機器出荷実績

電子情報技術産業協会は,2000年の周辺機器出荷実績ならびに2003〜4年までの市場予測を発表した。

 電子情報技術産業協会(JEITA)は3月1日,ディスプレイやプリンタなど周辺機器の2000年出荷実績ならびに2003〜4年までの需要予測について発表した。前年の予測では,液晶ディスプレイの市場規模がCRTディスプレイを超えるとされていたが,結果的にはCRTディスプレイが前年比73%という大きな成長を見せ,存在感を示した。

国内ではCRTディスプレイが奮闘

 国内における2000年のCRTディスプレイ市場は,1%減という予測を覆し,台数ベースで前年比73%増の519万台,金額ベースでは39%増の1480億円を記録した。これは,「低価格のセットPCが好調な売れ行きを見せた」(JEITA)ためだ。一方,これまで堅調な伸びを示していたデスクトップ用の液晶ディスプレイは,台数ベースで前年比28%増の281万台,金額ベースで前年比14%増の2638億円となった。予測はわずかに上回ったものの,JEITAでは,「液晶ディスプレイは,一昨年から続いた高成長に比べると需要が一服した感がある。CRTの伸びに押された格好となった」と分析する。

 ただJEITAによれば,世界的には液晶ディスプレイ市場が好調で,2000年の成長率は前年比44%。CRTディスプレイは13%だった。また,ノートPC用の液晶ディスプレイ市場の拡大も続いており,2000年には前年比34%増の2570万台を記録。2001年には2917万台(14%増),2003年には3834万台規模になると予測する。

 さらに,携帯端末向けの液晶ディスプレイは前年比59%増という大幅な伸びを見せている。JEITAでは,「カラー化や高精細化の要求に応えながら市場は順調に拡大する」としており,2001年には1370万台(30%増),2003年には2020万台に達すると予測する。

プリンタは家電としてのプレゼンスを追求

 プリンタ市場は,「2000年も順調に販売台数を伸ばした」(JEITA)。国内出荷台数は,前年比30%増の805万6000台を記録。特に,インクジェットプリンタが台数ベースで37%増(641万4000台)と引き続き大きな成長を見せた。ただ,「製品の差別化を価格面に依存する傾向が強い」ため,金額ベースでは市場全体で,前年比14%増の5601億1500万円,インクジェットプリンタ市場は全体を多少上回ったものの,22%増の1987億5900万円にとどまっている。

 またJEITAでは2004年までの市場動向として,「情報家電に対応したプリンタなど,家電としてのプレゼンスを目指すものが登場するだろう」と予測。2003年には,台数で2000年比49%増の1200万3000台に,金額ベースでは同16%増の6483億7500万円になると見る。

HDDの地位は変わらない

 ストレージ分野では,固定磁気ディスク(HDD),光ディスク装置ともに好調な伸びを示した。HDDは,「大容量化と低価格化というトレードオフの関係にある要求に応えており」(JEITA),出荷台数は前年比37%増の1981万台という伸びを見せた。また今後の動向についてJEIDAでは,「PCはもちろん,HDDレコーダーの市場が急速な立ち上がりを見せるなど,今後も主要な外部記憶装置としての地位は変わらない」と指摘する。

 一方,光ディスク装置の出荷台数は,2000年に前年比33%増の2095万台を記録。世界規模では,前年比45%増の1億8855万台となった。ただ,「光ディスク装置の総出荷台数は,PCの出荷台数に比較して1400万台ほど上回っている」(JEITA )ため,2001年の成長率は7%程度にとどまると見込んでいる。

 またJEITAでは,光ディスク装置分野の2003年までの見通しについて,「CD-ROMのような再生専用の装置よりも,CD-R/RWなどの追記書き換え型の装置が大きな成長を見せ,2002年には追記書き換え型への移行が本格的に進行するだろう。さらに,2003年には追記書き換え型のDVDがシェアを拡大する」としている。

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▼ 電子情報技術産業協会

[中村琢磨, ITmedia]

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