News 2001年3月5日 10:45 PM 更新

バイオ事業を推進する富士通,三菱化学とゲノム創薬で提携

富士通と三菱化学は,バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野で提携すると発表した。

 富士通と三菱化学は3月5日,バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野で提携すると発表した。ゲノム創薬や遺伝子情報を利用したテーラーメード医療の実現に向け,基礎研究で高い評価を受けている三菱化学生命科学研究所を両社協業の拠点として,運営や活用形態について検討していく。

 生命情報科学とは,生命実験から得られる大量の遺伝子情報などをスーパーコンピュータを使って処理し,新薬開発や産業応用に有益な情報を拾い出す手法のこと。今回の提携により,三菱化学グループ全体が保有する研究成果をもとに,富士通の情報技術を活用してゲノム創薬事業を進めることになる。また富士通では,バイオ関連情報を超高速処理するスーパーコンピュータの開発を推進する計画だ。

 三菱化学の正野寛治社長は,ポストゲノム時代における「バイオテクノロジーとITの融合」を強調する。遺伝子ならびにそれを鋳型にして作り出される蛋白質の機能を解明するには,ゲノム情報などを格納した大規模生物データベースのクロス検索や,画像データの類似検索などを高速実行する必要があるからだ。「これまでは,医薬品開発に12〜15年かかっていたが,“ポストゲノムマシン”を活用したゲノム創薬では,承認申請まで5〜8年に短縮できる」(正野社長)

 一方,富士通は昨年8月,同社研究員がスピンアウトして設立したゲノム創薬ベンチャーのセレスター・レキシコ・サイエンシズ(CLS)に資本参加。CLSは第一製薬と ゲノム創薬の共同研究において提携するなど,富士通グループは「巨大なビジネスチャンス」(秋草直之社長)とみるバイオインフォマティクス分野への取り組みを強化している。

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[中村琢磨, ITmedia]

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