News 2001年3月8日 11:44 PM 更新

「まだ沈静化したとは言えない」──IPAのウイルス届出状況

ようやく2000件をきった月間ウイルス届出件数だが,IPAでは「沈静化したとはいえない」と慎重な構え。

 IPA(情報処理振興事業協会)が3月8日にまとめた「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況」によると,2001年2月のウイルス届出数が1567件となり,ようやく2000件を割り込んだ。昨年11月より,届出が2000件を超える状況が続いていたが,「メールの添付ファイルに対する注意がなされてきたため」(IPA),減少傾向にある模様だ。ただし,昨年同月と比較すると依然,約4倍の件数であり,IPAでは「沈静化したとはいえない」と慎重にみている。

AnnaKournikovaが日本でも

 2月に届出のあったウイルスは計46種類で,新種は「VBS/SST」「W32/BleBle」の2つ。

 VBS/SSTは,通称「AnnaKournikova」と呼ばれるワームだ。プロテニス選手のアンナ・クルニコワさんの写真を装った添付ファイルとともに届き,開くとVBスクリプトを使ってWindowsシステムに感染,自らのコピーを「Outlook」のアドレス帳に記載されているユーザー全員に送りつける(2月13日の記事を参照)。

 「W32/BleBle」は,「InternetExplorer」のセキュリティホールを悪用したウイルス。「xjuliet.chm」「xromeo.exe」という名称のファイルを添付したHTMLメールによって感染を拡げるため,「MyRomeo」「MyJuliet」などの別称を持つ。ユーザーが,「Outlook Express」で受信し,プレビューするか,内容を確認するだけで感染する(詳細は2000年11月21日の記事を参照)。

依然多いHybrisとMatrix

 一方,届出件数の多かったウイルスは,「W32/Hybris」(2000年11月15日の記事を参照)の575件,「W32/MTX 」(2000年12月7日の記事を参照)の405件など。W32/MTXは,昨年11月に過去最悪の届出件数を記録した際,引き金となったウイルスだが,先月も全件数のおよそ3分の1を占めた。

 なお,IPAでは今後感染が広がる恐れのあるウイルスとして「W32/CIH」を挙げ,注意を呼びかけている。W32/CIHは,4月26日,6月26日,あるいは毎月26日に発病する種類が確認されている(1999年4月9日の記事を参照)。

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関連リンク
▼ 情報処理振興事業協会
▼ 主なワクチンベンダーのWebサイト等一覧(IPA)

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