News 2001年3月23日 10:38 PM 更新

わが家のブロードバンド化計画(3)──MTUのその後とインターネット接続の共有(1)

フレッツ・ADSLのMTU値はデフォルト値でもオーケー。ただ,RWINを調整すればなおベターだ。

 先週,速度を最大化するための工夫をいくつか紹介したが,NTT西日本の方から有益な情報をいただいたので報告しよう。また,複数台のPCを用いたADSL接続ラインの共有について,わが家 の場合はどのように解決したかを紹介する。

MTUはあらかじめ最適化されていた

 先週,わが家でMTU調整を行った結果,速度が伸びたという話をした(3月16日の記事参照)。フレッツ・ADSLにおけるMTU(Max Transfer Unit)の最適値は1454であり,もしこれで見えないWebページなどが現れれば,1ずつ減らしてリトライしてみれば最適値が見つかるはずだ。実はPingを用いて,特定IPアドレスとの通信経路で,もっとも長いパケットはいくつになるのかを調べる方法があるのだが,少々知識が必要になるためここでは割愛する。

 NTT西日本によると,1454というMTU値はどんな経路でパケットが流れても,絶対にフラグメント(パケットが分割されること)しない最大サイズなのだそうだ。先週,お伝えしたように,わが家では1414に設定していたが,1454でも見えないページはない。

 また,フレッツ接続ツールのMTUのデフォルト値は,Windows 9xでもWindows 2000でも,1454に設定されるというのだ。実際にネットワークに投げられたパケットをキャプチャしたわけではないが,一般的なネットワークアダプタとは別のレジストリ名で,フレッツ接続ツールが登録したPPPoEアダプタに1454という数字が登録されている(項目名はMaxFrameSize)。

 ただし,インストール直後の状態では,思ったようなパフォーマンスが出ないことも確かである。そこで試行錯誤してみたところ,RWINの既定サイズが小さいらしく「(MTU-40)× 12〜24」の値に設定すると速度が大幅に向上した。よって,フレッツ接続ツールを利用して接続する場合は,MTUではなくRWINの調整のみ行えば十分だろう。

 なお,東京めたりっく通信やイー・アクセスが配布しているPPPoEの接続ツールは,それぞれのユーザーに確認したところ,いずれもMTUが最適化されていなかった。フレッツ・ADSL以外のADSLユーザーは,同時にMTUの調整も行う必要がある。

 また,MTUなどのパラメータを簡単に変更できるフリーのPPPoEクライアントもある。「RASPPPoE」がそれで,仮想ネットワークアダプタではなく,ダイヤルアップネットワークアダプタとしてシステムに登録される。非常に高機能で,設定も簡単かつ安定しているので,Windows 98,Me,2000を利用しているユーザーにお勧めしたい(Windows 95とNTはサポートされていない)。


RASPPPoEの設定画面。MTUを指定できる

 わが家の場合,Windows 2000がメインの環境となるが,フレッツ接続ツールのPPPoEクライアントが少々不安定で,インストール直後から何度もシステムがカーネルレベルから落ちるという症状に悩まされた。同じ症状を経験しているなら,それだけでもRASPPPoEを利用する価値がある。

ルータが間に合わない……で使ってみたICS

 さて,MTUの話はこのあたりまでにしておこう。わが家の場合,もともと自宅に数台のPCが同時に稼働しており,ADSL導入前はOCNエコノミーとISDNルータを用いて接続を共有させていた。従って,PCからPPPoEで接続するのではなく,間にブロードバンドルータ(ローカルルータ)を置くことでインターネットの接続を共有させる計画だった。

 実はADSL導入直前にアメリカへの出張があったため,ここでPPPoEをサポートした(しかも日本での実績もある)メーカーの製品として,Linksys社のBEFSR11というルータを購入するつもりでいた(ルータの機種選定の話は次回にまわそうと思う)。

 しかし,これもたまたま,出張で同行していた別の同業者が「BEFSR81(前述機種の8ポートHUB付き上位機種)が余っているから譲るよ」と言ってくれたため,購入せずにすんでしまったのだ。

 というわけで,ADSL開通初日はルータの到着待ちの状態だった……のだが,家族はそんなにのんびりと,ルータの到着を待ってくれない(実は翌々日にはルータがやってきたのだが)。

 そこでWindows 98以降(ただしWindows98のICSは非常に貧弱なため,Windows 98SE以降をお勧めする)とWindows 2000が標準で備えているインターネット接続共有(Internet Connection Sharing : ICS)を利用し,自分が使っているPCを簡易ローカルルータとして使うことにした。

 本来,ローカルルータとして機能させるためにはインターネット側とLAN側のネットワークを分け,その間にICSが動作するPCを置かなければならない。しかし,PPPoE接続クライアントはフレッツ接続ツールの場合は仮想ネットワークアダプタ,RASPPPoEの場合はダイヤルアップネットワークとしてWindowsから認識されているので,これにICSの設定を行えばネットワークを2重化することなく,ルータとして動かすことが可能だ。


Firewallソフト「BlackICE」の画面

 物理的には,1個のLANがモデムに直接つながった形になるが,PPPoEクライアントと地域IP網の先にあるプロバイダの認証サーバの間にトンネルを作り,その間をパケットが流れる形になるため,論理的には2つのネットワークに分かれるからだ。

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