News 2001年4月3日 09:34 PM 更新

日立が組み込みプロセッサ戦略を転換──ライセンスビジネスを拡大へ

日立とSTは,「SuperH」コアのライセンス供与ならびに開発を行う新会社を設立し,積極的な提携戦略を進める。

 日立製作所とスイスのSTMicroelectronics(ST)は4月2日,組み込み機器向けRISCプロセッサ「SuperH」(Super Hitachi)コアの開発ならびにライセンス供与を行う合弁会社「SuperH,Inc.」を設立すると発表した。「米国を大きな市場と考えている」(日立)ため,本社を米カリフォルニア州サンノゼに置く。資本金ならびに出資比率は非公開。

 新会社の業務内容は,「SH-4」のライセンビジネスのほか,64ビット版の「SH-5」,ならびに次世代型プロセッサである「SH-6」「SH-7」の開発。SuperH,Inc.のCEO(最高経営責任者)に就任する日立の木原利昌氏(元マイコン・ASIC本部長)は,新会社設立について「SuperHが組み込み分野の真のデファクトスタンダードとなるために,アーキテクチャの普及を促進する」と意気込みを語った。

ライセンスビジネス拡大の理由

 日立とSTは1997年に提携して以来,SH-5の開発に共同で取り組んできた。現在,SH-5は400MHz版のシリコンサンプルが完成しており,2001年下半期にはライセンス供与が開始される予定だ。また,SH-5用のミドルウェアとしてMPEG-4コーデックソフトの開発も行われている。


SuperHコアのロードマップ(拡大画像

 SH-6では,1GHzで動作し,2GIPSの処理能力を実現する。2002年後半にはサンプル出荷される予定だ。また,SH-7はビデオフォンやデジタルテレビなど高度なマルチメディア機能が必要な製品向けのプロセッサ。日立では「2〜3年後に詳細が決定する」としている。

 これまで,日立はSuperHコアのライセンスに必ずしも積極的ではなかったが,同社半導体グループソフトウェア技術統括部門長の林慶治朗氏は,「日立単独ではカバーできない部分も多い。SuperHを宝物として社内に閉じ込めてきたが,SoC(System on Chip)市場の急速な立ち上がりにともない,外に出さなければならない状況になった」と新会社設立の背景を説明する。

 さらに,組み込み機器向けプロセッサ市場で,SuperHコアを採用した製品のシェアは出荷台数ベースで6.8%にとどまっており,携帯電話への採用で70%近くまでシェアを伸ばしたARMコアに大きく差をつけられていることも,日立にSuperHコアのライセンスビジネス拡大を決断させた。

 「携帯電話ではARMコアが大きなシェアを占めているが,携帯電話アプリケーションの肥大化により,ARMでは能力が不足する。既に,SHを画像処理などのアプリケーションプロセッサとして利用することで携帯電話ベンダーと話をしている。SH-4ならびにSH-5は,モバイルマルチメディア機器に最適なソリューションとなるはずだ」(林氏)

 なお日立では,携帯電話のほか,現在も広く採用されているセットトップボックスやカーナビゲーションシステム向けに積極的にSuperHコアをアピールすることで,「5〜6年後には組み込み機器向けプロセッサ市場で30%程度までシェアを伸ばす」としている。

関連リンク
▼ 日立製作所
▼ STマイクロエレクトロニクス

[中村琢磨, ITmedia]

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