News 2001年4月4日 06:35 PM 更新

松下,ブロードバンド時代の映像配信に向けハリウッドに新しい開発拠点

松下電器産業は,ハリウッドのユニバーサルスタジオ内に次世代の圧縮技術および配信事業の研究開発拠点を置く。コンテンツプロバイダと密接に連携し,新しいサービスの事業化にいち早く対応するのが目的だ。

 松下電器産業は4月4日,米ハリウッドに新しい研究開発拠点「パナソニック ハリウッド研究所」(略称:PHL)を設立したことを発表した。PHLでは,ユニバーサルをはじめとするハリウッドの映画スタジオや音楽のメジャーレーベルと協力し,次世代のデジタル映像圧縮とコンテンツ配信技術の研究を行う。コンテンツプロバイダ側と密接に連携し,新しいサービスの事業化にいち早く対応するのが目的だ。

 松下は,1993年以降,DVDオーサリングの拠点となる「HDテレシネセンター」や,映像圧縮技術の研究開発を行う「デジタルビデオコンプレッション」(DVCC)をユニバーサルスタジオの構内に設立しているが,PHLも同じ建物の中に設けられる予定だ。DVCCで培った映像圧縮技術をベースに,ブロードバンドや広帯域の移動体通信インフラに向けた映像および音楽配信のサービス方式を開発するのがPHLの主なミッションとなる。具体的な研究分野は,配信事業と次世代DVDなどに使われる圧縮方式,伝送・記録フォーマット,セキュリティ,流通方式など。SDカード関連事業やインターネット家電の調査・検討も含まれるという。人員は11名程度。同社の小塚雅之氏が責任者に就任する。

 同社マルチメディア開発センターの津賀一宏所次長は,「デジタルの時代は,方式の変更が容易であるが故に企業の利権と結びつき,共通化が難しい。また,映画会社や放送局はデジタル録画機などの普及がコンテンツビジネスに影響することを懸念している」と指摘。研究所内に「デジタル画質評価ラボ」(デジタル・イメージ・クオリティ・ラボラトリ:DIGL)を設置し,ユニバーサルに限らず広く映画関係者に開放することを明らかにした。画質評価の場を通じて,コンテンツ製作者側の意見を研究開発にフィードバックするのが目的だ。「DIGLは,オープンラボ構想に基づく運営とし,スタジオ関係者と自由に技術交流できる環境作りを進める」(津賀氏)。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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