News 2001年4月12日 09:45 PM 更新

“Web対応エアコン”で快適生活を実現

IBMがJavaで制御されるWeb対応のエアコンを開発した。携帯電話を使い,外出先からエアコンのスイッチを入れることが可能だ。

 帰り際に突然雨が降り出したとき,携帯電話を使って風呂を沸かしておくことができれば,ずぶ濡れになって帰っても風邪を引く心配はない。こうした生活スタイルは,昔思い描いた21世紀を実感させてくれるものだが,米国の家電メーカーであるCarrierとIBMはWeb対応のエアコンを開発。この夏より欧州で販売を開始するという。


Web対応エアコンのイメージ図

 このエアコンは,「Myappliance.com」という専用のWebサイトを通じて管理される。Myappliance.comは,PCまたはWAP(Wireless Application Protocol)対応携帯電話からアクセスすることができ,電源のオン/オフはもちろん,温度設定も外出先から行うことが可能になる。さらに,このエアコンはJavaで制御されており,故障発生時などにCarrierの担当者にメールで自動通知する機能を備えている。突然エアコンが壊れた場合でも,すぐに担当者が修理に駆けつけてくれるというわけだ。なお,このシステムを構築したIBMによれば「セキュリティは万全」とのことで,エアコンが誰かの侵入を受ける危険性はないという。

エアコンはWeb対応が必要

 常時接続環境の整備や,天文学的な数のグローバルIPアドレスに対応するIPv6の導入が進めば,あらゆるデバイスがネットに繋がるようになると言われる。テレビやオーディオといったAV機器の場合,インターネットに接続してコンテンツをダウンロードしたりするという使い方があるが,いわゆる白物家電がネットに対応する必要性はどこにあるのだろうか。

 ネット家電としては,既に,レシピをダウンロードできる電子レンジが登場しているが,ネット非対応のレンジでも十分役目は果たしていると考える人は多いはず。だが,エアコンの場合もっと実用的だ。外出時にエアコンの電源を入れっぱなしにしておくことはできないが,できれば家に着く前にスイッチを入れておきたいもの。タイマーをセットすればいいと指摘されるかもしれないが,会社勤めをしていれば帰宅時間など予想できるはずもない。エアコンが外部からコントロールできれば願ったり適ったりというわけだ。

 実際,“エアコンを遠隔操作する”という需要を見込んでいるのはCarrierとIBMだけでなはない。国内では,既に三菱重工が電子メールでエアコンの管理が可能な「e-@ir」(イーエア)を発売している(PCにメールを送信し,そこからエアコンに指令が出る。直接エアコンがネットに繋がっているわけではない)。また,東京ガスでは温水を利用したガス温水暖冷房システム「TES」の熱源機をTCP/IPに対応させ,インターネット経由で遠隔操作ができるようにする計画だ。これは「TES-HN」(テスホームネットワーク)と呼ばれ,外出先からエアコンや床暖房のスイッチを入れたり風呂を沸かしたりできるようになるという。TES-HNは,来年度中に製品化される見通しだ。

 会社から疲れて帰ってきたら,エアコンが入っていて風呂が沸いている。まるで,見えない家政婦がいるようだ。あとは,できたての夕食が用意してあったら言うことはないのだが……。

関連リンク
▼ Carrier
▼ Myappliance.com
▼ IBM

[中村琢磨, ITmedia]

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