News 2001年4月20日 11:59 PM 更新

わが家のブロードバンド化計画(5)──後悔しない? ルータ選び(1)

米国で高いシェアを持つリンクシスの「BEFSR81」を導入した。しかし,わが家の環境にはBEFSRはあまり適していなかったらしい。設定は簡単でパフォーマンスも良好,サポートも満足できるのだが,設定できる項目が少し足りなかった。

 加入から開通,Windowsのインターネット接続共有,その後にISP選びと,導入手順とは無関係に右往左往してしまったが,今回は,わが家でのブロードバンドルータ選びに話を進めることにしよう。僕が導入した3月初旬以降にも新機種の登場などいろいろと状況が変わっている部分もあるが,基本的な選び方は同じと考えていい。

ブロードバンドルータが必要になる場面

 ブロードバンドルータ選びに入る前に,ブロードバンドルータとはどんな機械なのかを簡単に紹介していこう。

 ルータはインターネットで用いられるIP通信のパケットを受信し,複数あるネットワークの中から,送り先に該当するところにパケットを送信する装置だ。ご存じのように,IPにはIPアドレスという固有の数字を割り当て,それを通信データの送信先として指定する。

 しかし,利用するコンピュータの数が増えてくると,あちこちでパケットが送信され,それがネットワーク全体に伝わるため,実効のデータ転送速度はどんどん低下してしまう。そこでIPの中継局であるルータを用いてネットワークを複数のグループに分割し,必要なパケットだけを必要なネットワークに対して流すようにする装置だ。こうしたルータをローカルルータと呼ぶ。

 つまり,小さなLAN同士を結びつけるために必要な装置と考えればいい。街ごとにある郵便局に例えてもいいかもしれない。

 ルータにはネットワークとネットワークを切り離す効果があるわけだが,この効果を利用して自動的にダイヤルアップしてインターネットに接続する装置を作ることができる。LAN内宛ではないIPパケットを,ISDNやモデムを通じてISPダイヤルアップすれば,オンデマンドでダイヤルをかけることができるわけだ。これがダイヤルアップルータと呼ばれるルータだ。

 通常のダイヤルアップ接続の場合,ISPはIPアドレスを1個だけしか割り当てない。通常,IPアドレスはコンピュータごとに割り当てる必要があるため,同時には1台のPCしかインターネットに接続できない。しかし,複数のPCを使っているのに,いちいち接続を切り替えるのは面倒くさい。そこで現在のダイヤルアップルータは,ほとんどの場合,IPマスカレードという機能が内蔵されている。

 IPマスカレードは1個のIPアドレスで,複数のPCからのインターネットアクセスを可能にする仕組みだ。またインターネット側から,LAN側ネットワークに対する接続要求を基本的に受け付けないようになっているため,外部からのポートスキャンやPING攻撃を遮断する効果もある(ただし利用するコンピュータ内部に侵入して,外部と接続するタイプの攻撃には無力なためファイアウォールにはならない)。

 ブロードバンドルータは,ローカルルータの一種だが,特別にそういう名称の規格があるわけではない。ここでは,xDSLなどのエンドユーザー向けインターネット接続サービスに対応し,IPマスカレードなど個人や小規模事業者向けの機能を重視したルータを総称したもの,ということにして話を進めよう。

 ここまでの説明からも分かるとおり,ブロードバンドルータはxDSL,CATV,光IP接続など,イーサネットを通じてインターネットに広帯域接続する際,1個しかもらえないIPアドレスを複数のPCからPPPoEなどの接続手続きなしに,シームレスに接続するための装置だ。つまり,1台だけをxDSLに接続する場合は必須ではなく,複数台のPCを同時利用したいときにのみ必要になる。しかし,1台だけを接続する場合でも,PPPoEによる接続手順を省きたい場合には利用価値がある。

 なお,ブロードバンドサービスのうち,個人向けに複数PCの接続をサポートする内容のものもあるが,それらは接続用の装置(xDSLならDSLモデム)にルータ機能を内蔵させたものである場合が多い。しかし,内蔵するルータ機能にエンドユーザーがアクセスできないケース(東京めたりっく通信の「Family」がそれに該当)もある。

 インターネット向けのアプリケーションの中には,IPマスカレードとの相性が悪いものもあり,それらを使うためにルータの設定を変更しなければならない場合もあるので,複数台のPCを利用する際には,あらかじめ通常のモデムで契約を行い,自分で選んだローカルルータを接続する方が柔軟な運用が行える。

【BEFSRを選んだ理由】

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