News 2001年4月20日 08:50 PM 更新

家庭を想定していなかったIT機器

 普段持ち歩いているノートパソコン。最近バッテリーの持ちが悪いなと感じていたのだが,とうとうフル充電しても30分で放電してしまうようになってしまった。

 仕方なく,新しいバッテリーを買うことにしたが,そこでかなりの理不尽さを感じてしまった。昨年の6月末に購入したもので,使用期間は1年に満たない。さらに,このパソコンには,バッテリーの劣化を調べるユーティリティが付属しているのだが,不思議なことに,劣化はしていないことになっている。たぶん,バッテリーに内蔵されたマイコンが,バッテリーの状態をうまくレポートできなくなっているにちがいない。

 たぶん故障なんだろう。修理すれば治るのだろうとは思ったが,バッテリーなし(も同然)のノートパソコンを使い続けるわけにもいかず,とりあえず,ターミナル駅周辺の量販店におもむき,運良く在庫があったので,その場で購入した。新しいバッテリーはすこぶる調子がよく,カタログスペック通りの性能を見せてくれる。

 問題は価格だ。このパソコンは約25万円で購入したものだが,今回買ったバッテリーの価格は約2万5000円である。本体価格の10%がバッテリー代という計算だ。オプションだから割高なのは仕方がないとしても,相対的にすごく高価な買い物という印象を持った。ちなみに,これまで,たくさんのノートパソコンを使ってきたが,1年に満たないでバッテリーがおかしくなったのは初めてだ。

使い方が問題

 ただ,ぼくのバッテリーの使い方は,さほど褒められたものではない。継ぎ足し充電は普通。しかも,電源はオンのままという最悪の状態が恒常的に続いている。すなわち,自宅では電源を入れっぱなしで,ACアダプタをつないで充電状態にし,でかけるときは,スタンバイさせたあとにACアダプタを取り外す。出先で多少使用しても,バッテリーがスッカラカンになるまで使うようなことはめったにない。その結果,多少の残量を持って自宅に戻って,電源をオンにし,使った分を補充電する。

 持ち歩くノートパソコンは,日によって異なるので,場合によっては,電源を入れっぱなし,ACアダプタはつなぎっぱなしという状態で数日間放置ということもよくある。

 こういう使い方をしているからかどうか,バッテリーのユーティリティが示す充電サイクルは,27回と表示される。今まで,フル充電と空っぽの間を27回繰り返したという意味らしい。このくらいの回数だから,劣化はゼロとユーティリティは主張する。

 まあ,携帯電話が,これに近い使い方をされているんじゃないかと思うが,どうにも,バッテリーの劣化というのは,分かりにくいものだ。まして,リチウムイオンのスマートバッテリーではなく,ニッケル水素バッテリーなどは実に難解だ。リフレッシュの作業でよみがえるという話もあれば,基本的には,そうした作業は必要ないという話もあるし,本当のところはどうなのか,よく分からない。実際,放電機を使って空っぽにして充電という作業を数回繰り返すと,ほとんどダメだったバッテリーが復活するということを何度も経験しているので,よけいに神経質になってしまう。

想定されなかったトラブル

 別のノートパソコンでは,こんな話もある。

 このパソコンは,無線LANに接続し,居間の床にころがして使っているのだが,部屋の中を,あっちこっちに移動しているうちに,必然的にACアダプタのケーブルがねじれてくる。多くのノートパソコンは,丸型のコネクタを持っているので,ケーブルのねじれに伴って,コネクタが回転するため,特に支障はない。が,うちの居間のパソコンは,角型コネクタなので,ねじれは,そのままプラグの根本の負荷となる。その結果,この部分が接触不良を起こしてしまうのだ。このパソコンのメーカーの場合,プラグの接触不良だと分かっていても,アダプタとDC側のケーブルは一体化しているものとされ,プラグだけの交換はできない。したがって,アダプタには何の問題がないにもかかわらず,アダプタごと購入しなければならないのだ。当然,かなりのコストを覚悟しなければならない。

 バッテリーを使った機器,デスクなどの上に鎮座して使われることがない電子機器。家庭でIT機器が使われるようになると,過去における環境では,全く想定されなかったようなトラブルを起こすようになるだろう。こうしたトラブルに,いかにスムーズに応えていくことができるかは,今後解決しなければならない重要な課題だ。

[山田祥平, ITmedia]

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