News 2001年5月8日 07:39 PM 更新

開発者を前に組み込み市場への“本気”を語るBallmer社長

マイクロソフトがWindows CE 3.0の次期バージョン「Talisker 日本語版」のベータ1をリリース。これを受けて同社のBallmer社長は,「今度は組み込み市場に本気でコミットしていく」とアピールした。

 マイクロソフトの組み込み製品開発者向けカンファレンス「Microsoft Developers Conference 2001」が5月8日に開幕した。基調講演には,米Microsoft社長兼CEO(最高経営責任者)のSteve Ballmer氏が登場。同日出荷を開始した「Talisker 日本語版」(ベータ1)について触れながら,組み込み市場に向けた同社の取り組みをアピールした。

 講演の内容は今年2月にラスベガスで開催された開発者会議のものとほぼ同じ。ただ,松下電器産業のネット対応テレビ「デジタルタウ」など国内で販売されているWindows CE搭載機を使ったデモンストレーションを行うなどの工夫がされていた。


組み込み市場への取り組みを熱く語るBallmer氏

 Taliskerは,Windows CE 3.0の後継バージョン。Bluetooth,IEEE 802.11bといった通信機能をサポートするほか,UPnP(Universal Plug and Play),クリアタイプ,ならびにDVDに対応する。また,SSLを利用できる,ユーザーインタフェースをカスタマイズすることが可能といった特徴がある。なお,Taliskerの製品版は2001年第4四半期に出荷される予定だ。

 またマイクロソフトでは,Windows CEの普及を促進するために,海外で展開中の「Microsoft Windows CE 3.0 イノベーション アライアンス プログラム」を国内のパートナー企業にも拡張する。イノベーション アライアンス プログラム参加企業は,通常よりも多くのソースコードにアクセスできるメリットがある。また,「Windows CE 3.0 ワールドワイド トレーニング プログラム」も2001年第3四半期より国内で実施する予定だ。

 Ballmer社長は,Windows CE 3.0から大幅に機能が強化されるTaliskerについて,「Microsoftが本気で組み込み市場に注力し始めた証だ。これからは本気でこの市場にコミットしていく。絶対に本当だ」と強烈にアピール。さらに,「Windows XPについては,リリースから90日以内に組み込みバージョンをリリースする。このWindows XP Embeddedでは,XMLやSOAP(Simple Object Access Protocol),ならびにUDDI(Universal Description,Discovery and Integration)をサポートし,Taliskerと同様に.NETサービスの中核となる」(同氏)と続けた。

 「スマートデバイスは,単機能で非力だと思われているが,Talisker搭載デバイスは.NETサービスの一部として機能することで,強固な能力を備えたものになるはずだ」(Ballmer社長)

 さらにマイクロソフトは同日,アプリックスとJavaベースの組み込みソリューションを協同で開発すると発表した。具体的には,アプリックスが開発したiアプリおよびMIDP(Mobile Information Device Profile)対応のCLDC(Connected,Limited Device Configuration)ベースJava実行環境「microJBlend」をWindows CEに対応させ,「microJBlend for Windows CE」(仮称)として開発する。同実行環境は,国内向けに出荷されるモバイル機器や携帯電話に搭載される見込みだ。早速,Developers Conferenceの会場では,コンパックコンピュータのPocketPC端末「iPaq」を利用したデモンストレーションが行われている。なお,両社によれば,国内でWindows CEに対応したCLDCベースのJava実行環境が提供されるのは初めてだという。

関連記事
▼ Microsoft,組み込み市場戦略を披露
▼ Windows CE 3.0の後継「Talisker」β版リリース

関連リンク
▼ マイクロソフト
▼ アプリックス

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.