News | 2001年5月15日 11:49 PM 更新 |
アナログ・デバイセズは5月15日,次世代標準となる画像圧縮方式「JPEG2000」に対応したICチップ「ADV-JP2000」を発表した。ハードウェアでJPEG2000の圧縮・伸張が可能なチップは,同社によると世界で初めて。
JPEG2000は,「古いJPEGを置き換えるもの」(アナログ・デバイセズ)として開発された画像圧縮方式で,JPEG特有のブロックノイズ,モスキートノイズがなくなり,高圧縮率でも高画質を実現している。
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同じ画像を左はJPEGで,右はJPEG2000で,それぞれ100分の1のサイズに圧縮したもの |
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JPEG2000は,Motion JPEG2000というかたちで動画にも対応する。ただし,静止画以外の仕様についてはまだ策定が終わっていない(拡大画像) |
ADV-JP2000はデジタルスチルカメラ向けに開発されたチップで,RISCチップやDSPのコプロセッサとして組み込むことでハードウェア的にJPEG2000の圧縮,伸張が可能となる。「300万ピクセルの画像を,1秒間に5枚圧縮できる」(アナログ・デバイセズのプロダクト・ライン マネージャであるRogerSmith氏)
価格は10000個ロット時で14ドル。本日から供給される。
アナログ・デバイセズの民生関連機器市場営業部のASCビデオプロダクツストラテジックマーケティングマネージャの松島義之氏は,JPEG2000をデジタルスチルカメラで使用するメリットを3つほど挙げる。
1つはメモリ使用の高効率化だ。「ユーザーが(撮影する画像の)ファイルサイズを指定すると,ぴったりのサイズでファイルが生成される」(松島氏)
また,最高画質の画像でメモリがいっぱいの場合でも,いくつかの画像の品質を落とすことで,メモリを空けることが可能だ。
さらにJPEG2000は,1つのファイルから異なる解像度で印刷が行える。フォトレタッチソフトなどで再処理する必要がない。
多くのメリットを持つJPEG2000だが,そうすんなりと市場に受け入れられるとは限らない。理由の1つは“従来のJPEGと互換性がない”ためだ。
画像圧縮のコアテクノロジーとして,従来のJPEGはDCTを利用しているが,JPEG2000はそれと互換性のないWaveletを利用している。
現在,PCのWebブラウザやフォトレタッチソフトでJPEG2000を利用するためには,別途プラグインが必要だ。「来年にはブラウザやソフトウェアがJPEG2000に対応してくる」(RogerSmith氏)というが,一般に普及するにはまだ時間がかかるだろう。
松島氏によると,「画像処理用のチップをデジタルスチルカメラメーカーに供給してから,実際に製品が登場するまで6〜8カ月程度かかることが多い」という。今年の年末には,JPEG2000に対応したデジタルカメラが登場するかもしれない。
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