News 2001年5月18日 11:55 PM 更新

ゲーム業界人ではないヒトの“E3見聞録”

ゲーム業界人ではない筆者が贈るE3見聞録。フツーの人のフツーの視点で,業界のしがらみ一切ナシの本音ベースでお送りしたい。露出の多いお姉さんもちょっとだけ登場。

 筆者は,コンテンツに関して細かなレポートをすることは難しい。なぜかって? いや,これでも某誌のクロスレビューを一般人代表として担当していたこともあるのだが,そんな筆者でさえ,すべてのゲームが同じように見えてしまう。

 身近な車を運転するゲームや,コミュニケーションとゲームバランスが重要なオンラインロールプレイングぐらいならばハッキリと違いを伝えられるが,一人称シューティングゲームなどのコアユーザー層をターゲットとしたゲームや,どうやっても人間相手には勝てない格闘系ゲームはもっぱら見物派である。

 そんなわけで,ゲーム業界人ではない筆者のE3見聞録。フツーの人のフツーの視点で,業界のしがらみ一切ナシの本音ベースでお送りしたい。

大量のリリースに期待ふくらむセガだが?


塀で囲まれたセガブース

 E3初日早々,セガのリリースが配られた。内容は各社最新プラットフォーム向けに開発中のタイトル発表だ。それぞれの内容はGAMESPOTが詳しいが,なかなか豪華な顔ぶれがDreamcast以外に登場する。

 GAMECUBEには,昨年末Dreamcastでヒットして話題になったコンソールゲーム機初の大規模オンラインRPG「ファンタシースターオンライン」(仮称,発売日未定),「スーパーモンキーボール」(仮称,2001年末発売),「バーチャストライカー3 Ver.2002」(仮称,2002年春発売)の3タイトル。

 PS2向けには既に発表されている「バーチャファイター 4」のほか,ノリノリの音楽が人気を呼んだシンプルなダンス(?)ゲーム「スペースチャンネル5」,Channel 5スタッフの新作「K-Project」(仮称)などが並ぶ。

 Xbox用にも「クレイジータクシーネクスト」(仮称),「ジェットセットラジオフューチャー」(仮称)「セガGT 2002」「ハウスオブザデッド3」などなど,こちらも既存人気タイトルのリメイクが数多く並ぶ。

 重なるソフトはスポーツゲームのシリーズだけで,ほかはすべて分散しているのは,セガゲームファンにとっては不幸なこと(すべてのゲームコンソールを買わなければ遊べない)だが,とりあえずはセガのがんばりに期待したい。と書いている私は,結構セガファンだ。

 正直に言おう。実はこの情報,リリースを見ながら書いており,セガブースの中がどうなっているのか全く分からない。セガブースは壁で取り囲むように設営されており,あらかじめ招待された人しか入れないのだ。セガ広報のS氏に交渉してみたが「一般のプレスの方にはお見せできません」とつれない。ゲーム誌のプレス(こちらは一般ではないようだ)は入ることができるようなので,GAMESPOTの記事を参照して欲しい。実際に,これらタイトルが動いているのかどうかも確認することができないのだ。

 でもセガさん。中途半端な出来で公開するのがイヤなのかもしれないけれど,こういう対応で本当に大丈夫?

素直に“面白い!”と喜べる任天堂


のどかに見える任天堂ブースだが……?

 長らく任天堂のライバル関係にあったセガのタイトルがGAMECUBE用に登場することに歴史的なものを感じるが,この両者に共通するのは,作るソフトのタイプは違っても,ゲームとして楽しさを追求したタイトルが多いこと。ムービーや小手先のテクニック,あるいは殺伐と殺しまくるといったありがちなパターンを超えたゲームらしさを感じる,と言ったら大げさか。

 その任天堂ブースは,なぜかほかのブースよりも人が多い。いや,多いのも確かなのだが,人のサイズ(特に横幅)がとても大きい。たまたまかな? と思ったが,ほかの記者も同じように話していたから,任天堂ファンは横幅が大きいということか?

 冗談はさておき(本当なのだが),すし詰め状態のなかでプレイしてみた「Super SMASH BROS Melee」や「PIKMIN」は,本当に楽しい。面白いかどうか,好きか嫌いかは,人によって異なるだろうが,とにかく実に楽しいのだ。手軽に遊べて楽しく,またやりたくなる。かつて感動したファミコン時代に戻ったかのように思えた。

 実は昨年のE3,セガの熱気に当てられて,帰国した空港から車で秋葉原に直行し,Dreamcastとマラカスコントローラを購入して家路についた。後悔しているだろうって? いやそんなことはない。わが家にはPS2もあるのだが,そちらはパズルゲームの「Fantavision」で遊んだ以外,ほとんど起動することはなかった。ソフトを購入しても,イマイチ燃えないのである。

 イカスぜ,スゲーよ,なんて言葉で,スゴいゲームを遊べない筆者は,きっとこの世界では年寄りなのだろう。しかし,そんな筆者には任天堂が一番いい感じ。この秋には,きっとGAMECUBEがわが家のリビングに置かれているに違いない(これでまた1人,横幅の大きな任天堂ファンが生まれた)。

激減したPCゲームの居場所

 昨年のE3との比較では,なんと言ってもPCゲームの減少傾向が顕著になったことだ。PCゲームベンダー大手のElectronic ArtsやEIDOSといったディストリビュータも,展示の中心をコンソールゲーム機に切り替えている。特に開発が難しいといわれたPS2のタイトルが多いのに驚く。PS2はいよいよソフトの増加を見込めるところにまでこぎ着けたようだ。ハードウェアを売ることには成功したものの,ソフト売り上げの伸びに精彩を欠くPS2だが,タイトル増加を浮上のきっかけにしたいところだろう。

 もっとも,PS2用としてラインナップされているゲームの大半は,筆者にはちょっと辛そうなゲームが多い。その中でも戦略とテクニック,創意工夫など,必要な要素のバランスが最高の「METAL GEAR SOLID 2」は,かなりいい感じだ。しかし,これを小学生も遊ぶのだろうか?

 PCゲームのベンダーはどこに行ったのか? DirectXベースで開発していたPCゲームのベンダーは,ターゲットをXboxに切り替えたようだ。マイクロソフトは,XboxがPCゲームっぽい,マニア向けのタイトルばかりにならないように気を払っているようだが,なかなか文化は変わらないものだ。

 マイクロソフトのブースに並んだXbox用タイトルの中には,コーナーをカッコよく曲がるとプレイタイムとポイントが加算される新タイプのドライブゲーム「Project GOTHAM Racing」や,懐かしのQIXにも似た4人マルチプレイのパーティゲーム「FUSION FRENZY」など,コンソールゲーム機らしい楽しさを持ったゲームもある。


「Project GOTHAM Racing」の画面。Xbox用だ

 しかし,常人の感覚では不条理極まりない設計をしてきたPCゲームベンダーが,あまりマニアックな方向に進んでしまうと,Xboxの市場を壊しかねない。そのあたりの舵取りをどう取るか興味深いところだ。

 ところで,「大きいものは良いことだ」の米国でも,Xboxのサイズは話題の的だ。マイクロソフトブースのXbox実機展示コーナーでは,Xboxと共に記念写真(?)を撮りながら雑談を交わすグループがちらほらと集まってくる。やっぱり米国人から見ても,Xboxのサイズはかなり大きいようだ。“GAMECUBEの4倍以上はありそうだから,在庫を抱えると4倍大変だね”なんて,笑えない冗談を言う人もいた。さすがに小型のPCよりも大きいのはなんとかしなければいけないと思うのだが……。

E3はどんなとこ?

 もちろん,ゲームの展示会だが,毎度,異常なまでのノリの良さと,モラルギリギリの馬鹿さ加減,さらには「東京ゲームショウ」とはひと味違うエッチ度もE3の特徴“だった”とは,E3取材のベテランの話。そんなわけで,編集部の男性のため“しかたなく”女性を見かけるとシャッターを押していたが,正直言ってあまり収穫はない。


米国のコスプレはひと味違う

 なんでも2年前はトップレス状態だったらしいのだが……っと,それを期待しているわけではない(昨年はバストにシールだけのお姉さまもいたが)。というわけで,女の子の探し方が足りないせいか,ゲーム業界の景気低迷が原因なのかは定かではないが,定番となっているテクモブースの「Dead or Alive」コスプレ撮影会の写真をどうぞ。


「芹澤さん,これでいいですか?」(筆)「もうちょっとアップでお願いします」(編)

 昨年,E3の会場内でエキシビジョンマッチを見せていたプロレス団体のFMWは,今年は残念ながらどこにもいなかった。その代わり,ハーフパイプで自転車やスケートボードの出し物をやっているブースを発見。ゲームよりも,こうした出し物の方が注目されているのは気のせいだろうか?

[本田雅一, ITmedia]

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