News | 2001年5月23日 10:19 PM 更新 |
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島津製作所ブースで参考出品された日立製作所のウェアラブルPC |
移動体通信キャリア各社がブースを並べる東5・6ホール「モバイル&ネットワークゾーン」は,ビジネスシヨウの中でも一番熱気があるスポットだ。その雑踏の中でも比較的静かなホール中心付近に,島津製作所とザイブナーのブースがある。そこで,日立製作所のウェアラブルPC「WIA(Wearable Internet Appliance)」の参考出品があり,実際に使ってみることができた。
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ザイブナーブースでも展示されたWIA |
ザイブナー? 島津製作所? コンピュータ分野ではあまり聞き慣れない社名だが,実はウェアラブルPC分野ではパイオニア的存在でもある。米Xybernautは,ウェアラブルPCに関する数々の特許を取得しており,既に製品化も実現。航空機のメンテナンスや工場の検査,医療機関や災害活動など,さまざまな現場で活躍しているという。一方,島津製作所のウェアラブルPCを扱う部署名は「航空機器事業部」。そう,やはり航空機メンテナンス現場からの強い要望から生まれた製品なのだ。航空機の整備は,分厚いマニュアルを手にしながらの作業が多いことから,作業時の負担軽減にウェアラブルPCを活用しているという。
片目用ヘッドマウントディスプレイを採用したWIAは,日立製作所,島津製作所,ザイブナー,コロラド・マイクロディスプレイの4社による協業で生まれた製品だ。Windows CE 3.0ベースのコントロールユニットは日立製作所が担当している。非常に軽量コンパクトにできており,ポケットにも入るサイズとなっている。
主な仕様は以下の通り。
WIA(Wearable Internet Appliance) | |
OS | Windows CE 3.0 |
CPU | SH-4(128MHz,230MIPS) |
インタフェース | コンパクトフラッシュスロット(Type-II)×1,USB,PDC/PHSコネクタ,ステレオヘッドホンジャック |
サイズ | 75.2(幅)×134(高さ)×24.5(厚さ)ミリ |
重量 | 約230グラム |
島津製作所は,ヘッドマウントディスプレイ部と,パソコンの信号を小型液晶用に変換する内蔵ボードの開発を担当。これは小型単眼ヘッドマウントディスプレイ「Data Glass 2」という名前で,OEMベースですでに商品化されているものだ。約70グラムの軽量ボディで,頭部に装着しても違和感は少ない。左右どちらの目でも見られるように表示部の切り替えが可能となっている。
ディスプレイはSVGA(800×600ピクセル,26万色)表示。60cm先に13インチに相当する画面が現れて,指先で操作するコントロールユニット(USB接続)でポインタを動かす。
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ブースでは,ウェアラブルPCを体験できる |
携帯電話やPHSとの接続にも対応しているので,インターネット接続も可能だ。コンパクトフラッシュスロットはType-IIを採用しており,マイクロドライブやP-in Comp@actなども利用できるという。また,ステレオヘッドフォンジャックを装備しているので,MP3プレーヤーとしても使える。
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指先で操作するマウスが,意外と使いやすい |
島津製作所のブース担当者によると,年内には商品化の予定で,気になる価格は20万〜30万円ぐらいになるとのことだ。Windows CEベースで,液晶ディスプレイなど電力を消費する部分が小さいせいもあり,かなりの動作時間が期待できるという。
実際に装着して体験してみた。以前,IBMのウェアラブルPCを体験してみたことがあるが,その時と比べて表示画面が明るくなった印象を受けた。小さな文字はさすがに読み辛いが,文字の大きさを調節すれば判読できる範囲で,画像や動画なら問題ないだろう。ここまでくると,入力もPDA用などに市販されている片手用キーボードと組み合わせてみたい。
年末には,頭にヘッドマウントディスプレイ,左手に指先操作のマウス,右手に片手用キーボードというサイバーなスタイルのサラリーマンが,街中を歩きまわっているかもしれない。
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