News	2001年5月24日　11:50 PM 更新

MSとエイベックス，「avexnet TV」を正式発表

エイベックスの「avexnet TV」は，3つのチャンネルを24時間ノンストップで放映するストリーミング放送局。しかし，300Kbpsの固定ビットレートでは，快適に視聴できる人は限られそうだ。

　エイベックスとマイクロソフトは5月24日，ストリーミングビデオによって音楽情報やプロモーションビデオなどを配信するオンライン配信事業「avexnet TV」を発表した。WMT（Windows Media Technologies）を使い，3つのチャンネルを24時間ノンストップで放映する。しかし，300Kbpsの固定ビットレートでは，快適に視聴できる人は限られそうだ。

エイベックスの依田巽会長兼社長（右）とマイクロソフトの古川享会長。依田氏は「世の中はブロードバンドの夜明け。AVコンテンツプロバイダーのリーダーとして，avexnet TVを推進する」と意気込みを語った

　avexnet TVでは，その名の通り，TVのような番組編成表に沿って放送を行う。これは，高画質の映像を「TVと同様，受け身でも楽しめるように」（エイベックスネットワークの谷口元専務）というコンセプトによるもの。マイクロソフトは，Windows Media Videoのストリーミング配信を「250KbpsでVHSレベル，500KbpsでDVDレベル」と謳っており，320×240ピクセルという画面サイズながら，VHSビデオ以上の画質をPCで楽しめるようになるはずだ。また，Windows Media Videoは，視聴環境に合わせてビットレートを可変させるVBR（Variable bit rate）機能を持つが，avexnet TVでは画質を重視し，これを使わない方針だという。「音質重視のコンテンツではフレームレートを毎秒24コマに落とし，対応する。通常は毎秒30コマだ」（マイクロソフトデジタルメディア本部シニアビジネスデベロップメントの河野万邦マネージャ）。

視聴時にはアンティークなTVが表示される

　avexnet TVのチャンネルは以下の3つ。エイベックスの総合情報サイト「avexnet」もしくはMSN内にある「Windows Mediaガイド」からアクセスできる。

チャンネル	番組	内容
1ch	PV Channel	エイベックスアーティストのプロモーションビデオ。毎週更新
3ch	CF Channel	テレビCFを放送。随時更新
4ch	Channel a	地上波30局で放送中のエイベックスオリジナル番組

300KbpsだけでOK？

　しかしながら，現状で300Kbpsのストリーミング映像を快適に楽しむことのできるユーザーは少ない。国内で約100万人といわれるブロードバンドユーザーのうち，8割以上はCATV接続（2001年5月現在）。CATVも増速化が進んでいるとはいえ，300Kbpsをコンスタントに利用できるユーザーは限られている。また，ベストエフォート型のサービスでは混雑による速度低下も避けられず，たとえアクセス回線がクリアであっても配信サーバの置かれた環境が貧弱では，やはり快適に視聴することはできない。

　また，avexnet TVでは，NTT-ME，Benefit Online，Global Center，KDDIの4カ所に配信サーバを設置しているが，それでも同時にアクセスできるユーザーは「数千人」（マイクロソフト）規模に止まるという。人気アーティストを多く抱えるエイベックスだけに，その市場性を考えると，敷居の高いサービスには疑問が残る。

　こうした指摘に対し，マイクロソフトの河野氏は「事業の第2フェーズとして，夏以降には配信側の環境を充実させる」と話す。「ブロードバンドキャリア各社と協力して，（ネットワークの）エッジサーバにキャッシュすることを検討している。Akamaiのような配信システムを導入して負荷を分散させる可能性もあるだろう」（河野氏）。

　エイベックスでは，通販番組やライブ中継にもavexnet TVを活用していく方針だという。利用者の数を絞ってまでビットレートを重視したのは，画質に対するイメージが，将来のビジネスを左右すると判断した結果なのかもしれない。

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