News 2001年5月24日 11:52 PM 更新

オフィスでの私用ネットは「個人の裁量」

会社でのネット個人利用は認めるべき? それとも禁止するべき? 調査会社のガートナーによると,6割の個人が「ある程度必要なこと」と捉えているという。

 調査会社の日本ガートナーグループは5月24日,会社におけるインターネットの個人利用に関する調査結果を公表した。米国の企業では,勤務時間中にアダルトサイトにアクセスしたり私用メールを出したりするとクビになる危険性もあるが,ガートナーの調査結果によれば,日本企業では「個人の裁量」に任せている場合がほとんどだという。

 ガートナーの調査では,回答した個人ユーザーの76.6%が過去1カ月間に私用でネットを使ったとしており,そのうち57.1%が「ある程度必要なこと」と勤務中の私用ネットを肯定している。一方,企業側の回答では,「会社として厳禁している」のは9%,「原則禁止」しているのが36.7%,そして「実際には禁止だが黙認されている」のが34.7%。つまり,約8割の企業が,勤務時間中におけるネットの個人利用については認めていないことになる。

 ただ,ガートナーでは「禁止しているといっても,公私の切り分けが困難なため,ほとんど黙認されているのが実情」と指摘する。実際,約8割の企業がネットの私用を認めていないにもかかわらず,オフィスでのインターネットの利用方法についてガイドラインを設けているのは56.9%。そのほかは,「ガイドラインはない」が31.2%,「あるかどうか分からない」が12%となっており,ネットの個人利用禁止が掛け声だけで,多くの企業で運用体制が確立されていないことが分かった。

 「黙認することの根底には,社員の個人裁量に任せるという考えがある。だが,社員のインターネットに関するリテラシーが低いのに,過度な責任を負わせるのは会社と個人の双方にとって危険だ」(ガートナー)

 だが一方で,ガートナーでは安易にガイドラインを導入するべきではないと強調する。「インターネットを利用した情報収集が主流になり,公私という呪縛にとらわれていては,活動が制限されてしまう。だが,厳格なガイドラインを設定すると,かえって業務に支障をきたす」(ガートナー)

 「企業がすべきことは,ガイドラインを最低限に抑え,社員がきちんとした判断基準を養えるように教育すること。インターネットを当たり前として育ってきた新世代に対し,オフィスにおけるネット利用について教育するのは,非常に重要なことだ」(同社)

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[中村琢磨, ITmedia]

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