News 2001年6月18日 09:28 PM 更新

ハンズフリーで車内メールチェック。自動車盗難防止にも

オムロンとCellport Systemsがテレマティクス(自動車内のIT化)事業で新会社を設立。2004年には100億円を目指す。

 オムロンとCellport Systemsは6月18日,テレマティクス(自動車内のIT化)事業で提携し,今年10月1日に新会社を設立することを発表した。オムロンの持つセンサー技術や音声認識,M2M(マシンtoマシン)技術と,Cellport Systemsが有するゲートウェイ技術に関する数多くの特許を活かして,テレマティクス市場でのデファクト・スタンダードを目指す。新会社で,2004年には100億円の売り上げを見込んでいる。

 テレマティクスとは,安全性を向上させるための車載用電子システムの総称。盗難防止システムやカーナビゲーションシステム,走行中に故障した際の遠隔エンジン診断や修理工場への連絡,盗難車輌を追跡するトラッキング機能,自動衝突通告,電子メールやニュース情報などへアクセスするための無線インターネットシステムなどがテレマティクス分野に位置付けられ,今後大きな市場が期待されている。

 今回の提携でオムロンはCellport Systemsに約11億円を出資。出資比率は約6%で,出資額トップのCisco Systems(7%)に次ぐ出資額となる。10月1日に設立される新会社は,資本金が1億〜3億円となる予定で,両社の出資比率は50%ずつとなる見込み。テレマティクスゲートウェイやハンズフリーカーキットといった商品を中心に,設立当初はカーショップなどアフター用品マーケットで展開し,順次,自動車メーカーへのアプローチも行っていく構え。2002年には20億円,2003年には60億円,2004年には100億円の売り上げを目指す。


オムロンの増田英樹副社長

 オムロンの増田英樹副社長は「北米のテレマティクス市場は2007年度に230億ドルに達すると推定されている。日本や欧州もそれぞれ130億ドルの市場規模になるだろう」と市場への期待感を述べた。また,「Cellport Systemsは,携帯電話機のメーカーや形状を問わない汎用ハンズフリーキットを商品化しているほか,車載用ネットワークサーバをモバイル通信サービスのゲートウェイに利用する特許技術を持っている。このCellport Systemsの強みと,オムロンの持つセンサー,M2Mテクノロジー,音声・画像認識技術といった強みとを融合し,テレマティクス市場でデファクト・スタンダードを目指す」と語った。

 両社の技術を活用したテレマティクス事業では,どのようなことが実現できるのか。オムロンによると「Cellport Systemsのハンズフリーキットに装着された携帯電話に,“音楽をダウンロード”“メール受信”といった操作を音声で指示。オムロンの音声認識技術を利用して認識された命令を,集中管理するM2Mセンターへ無線インターネットで送り,車載ゲートウェイを介してカーオーディオにMP3データをダウンロードしたり,受信メールを読み上げたりすることが可能」という。

 別会場では,テレマティクスシステムを活かした車両盗難防止サービスの紹介が行われた。


車両盗難防止サービス

 同サービスは,車両の盗難阻止,威嚇,盗難後の追跡といった情報のやり取りが携帯電話で行えるのが特徴。まず,車のドアが開かれるなど盗難と思われる異常が発生した場合に,M2Mセンターを通じて所有者の携帯電話へ自車状況や位置情報などを知らせる内容のメールが届く。この異常発生状態で車のエンジンが始動すると,クラクションが鳴りっぱなしとなり,周囲に異常を知らせる。


車が盗難! ドアが開けられると……


……警告メールが届く

 警告メールを受け取った車の所有者は,携帯電話からクラクションを鳴らしたり,ハザードランプを点滅させるなど,犯人へ警告する動作を遠隔で操作できるほか,警備会社への連絡,警察への通報などがシステムと連動して行われるという。このサービスは6月末〜7月にモニターを募って実証実験を行う予定。

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[西坂真人, ITmedia]

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