News 2001年6月22日 10:54 PM 更新

日本SGI,恵比寿ガーデンプレイスの「Reality Center」をリニューアル

大規模可視化システムの「Reality Center」がグレードアップして7月よりリニューアル。解像度・写実性・没入感が大幅に向上している。

 日本SGIは6月22日,東京・恵比寿ガーデンプレイス地下にある大規模可視化システム「SGI Reality Center」のリニューアルに先駆け,その全容を報道陣に公開した。7月より運用を開始する。

 Reality Centerは,日本SGIのスーパーコンピュータと可視化装置を統合したデモセンター。このシステムは,現在,自動車業界や建設業界など製造業においてデザインレビューやシミュレーションに利用されているほか,米国国防関連施設のような軍事目的,ならびに東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンようなエンターテインメント施設での導入実績を持つ。売り上げ規模では,2000年度が約25億円だったという。


「可視化システムでは敵なし」とSGIが胸を張るOnyx 3400の外観。システム価格は約1億円だ

 今回のリニューアルは,可視化システムの要となる解像度・写実性・没入感の強化が目的。「Onyx2」に代え,画像処理用に16CPU搭載のビジュアライゼーションシステム「SGI Onyx 3400」を導入。Onyx 3400は,グラフィックエンジンとして「Infinite Reality3」×3を搭載するのが特徴。Infinite Reality3は,フレームバッファを480Mバイト,テクスチャメモリを256Mバイト搭載し,3930万ポリゴン/秒,13億4400万ピクセル/秒という描画能力を誇る。また,メモリは16Gバイト,HDDは1.5TバイトのファイバーチャネルRAIDディスク「TP9400」を実装している。


3台のプロジェクタから3面の湾曲スクリーンに映像を投影。プロジェクタはSGIとともにReality Centerを設計するバルコのもの。価格は1台1500万円

 また,プロジェクタはバルコの3管式プロジェクタ「Reality909」を,スクリーンには,キクチ科学研究所の3面大型湾曲スクリーンを採用。スクリーンサイズは,3面で7.3メートル×1.8メートル,視野角は70度だ。スクリーン1面につき,1つのプロジェクターが映像を投影しているわけだが,そのままだと映像の継ぎ目にすき間ができてしまう。そこで,「わざと映像が重なり合うように投影し,重なった部分の輝度を落とすことで継ぎ目をなくすようにしている」(SGIテクニカルマーケティングマネジャーの島倉信雄氏)。

 今回のプレビューでは,衛星画像をリアルタイムでハンドリングし,米国サンフランシスコにあるSGI本社をズームアップするデモンストレーションや,超高解像度デジタルカメラで撮影した,ヴァチカン美術館にあるラファエロ作のフラスコ画をCGで再現するというデモが披露された。


衛星から撮影した地上の映像。ここまで拡大してもはっきりとマークを認識できる


ラファエロのフラスコ画をCGで再現するデモ。左右のディスプレイで表示している映像が異なるのが分かる

 Onyx 3400のグラフィック性能は,衛星から地上にズームインする際に発揮される。衛星軌道から米SGI本社にある駐車場まで,シームレスに寄ることができた。サンフランシスコ一帯の画像データだけで200Gバイトあるというから,いかにグラフィックエンジン処理能力が優れているかが分かるだろう。また,ラファエロのフラスコ画では,「天井に描かれた祭壇の模様までくっきりと見える。これは,“神の眼”でしか見ることのできないと言われていたものだ」とアピールした。

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[中村琢磨, ITmedia]

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