News 2001年7月9日 10:28 PM 更新

NECの新PDAが示すものは?(1)

NECが9日に行った新製品の記者発表で,一番の注目を集めたのは,正式な発表ではなく「予告編」として"参考展示"されたPDAだった。年内発売されるというこの製品,仕様面ではまだ不明確な部分が多いが,PDAの「これから」という点で,様々なことを示唆している。

 まず,現時点ではっきりしている仕様について,おさらいしておこう。

 OSは「WindowsCEベース」。単純にPocketPCと言わなかったところにミソがあるようで,NEC独自の味付けを何かしてくる可能性があるのかもしれない。CPUはStrongARM 206MHzで,これはコンパックのPocketPCマシン「iPAQ」と同じだ。NECにも関わらずVRベースでないことが,ちょっと意外だが,どうやら,PocketPC系マシンは今後,このStrongARM 206MHzが一種の標準となりそうだ。


銀色に光るNECの新PDA。NECとしては久しぶりのペンベースのPDAだ

 I/O周りは,SDカードスロットとコンパクトフラッシュカードスロットTypeIIをサポートしている。この日展示されたのは,あくまでも製品イメージを表現したモックということなので,最終製品がそうなるとは言い切れないが,他にヘッドフォン端子やジョグダイヤル風の操作装置などが上部にあった。


製品上部の拡大写真。CFCスロットはここにある

 展示されたモックだけから判断すると,NECの新PDAは,今後の"PocketPC"に必要とされる基本スペックを押さえた,比較的,堅実な製品だと見ることができる。価格面でも「先行して商品を出すわけではないので,他社と十分競争できる価格にする」と述べており,大胆な価格戦略を採ることはなさそう。

「個人」の手を離れるPDA

 逆にいえば,この製品の本質は,この「奇を衒わなかったこと」にある。おそらく,この製品の真骨頂は,この日はまだ展示されていない搭載ソフトウェアや,企業向けのソリューションとして提供されるミドルウェア,あるいは開発環境といったものにあるのだろう。そして,このことが,日本におけるPDAが,大きく曲がり角に差し掛かったことを示している。

前のページ1 2次のページ