News 2001年7月10日 11:06 PM 更新

松下式健康管理はトイレで?

松下の中期計画で,新規市場開拓を担うヘルスケア・メディカル事業。その柱となるのが,ハイテク“トイレ”と遠隔医療を実現する電子健康計測端末だ。

 松下電器は7月10日,ヘルスケア・メディカル事業の取り組みを,マスコミに向けて説明した。

 同社の中期計画「創生21計画」の中には,柱として,5つの成長事業と6つの新規事業が掲げられている。「健康・ヘルスケア」は,この新規事業のテーマの1つだ。同事業の推進母体として,今年4月1日付で社長直轄下に「ヘルスケア・メディカル事業センター」を新設。新規分野(ヘルスケアソリューション,医療システム,医療画像)の事業創造と,既存分野(血糖値センサーなどの健康計測,医療機器)の事業強化を行っている。

 ヘルスケア・メディカル事業センター所長の西田順紀氏は,同事業の市場規模について「ヘルスケア・メディカル分野の世界市場規模は,2000年には11兆3000億円にも及んだ。業界成長率も年率5%と堅調に推移している」と語り,その将来性を強く訴えた。


ヘルスケア・メディカル分野の将来性を訴える西田氏

 日本の市場規模は約1兆7000億円で世界市場の約10%を担い,まだまだ拡大傾向という。「肥満や高血圧,糖尿病などの生活習慣病や,脳卒中,ガンなどが急増している。高齢化社会や少子化,医療保険制度の見直し,IT化による在宅医療の進展など,社会基盤や環境の変化によって,ヘルスケア・メディカル事業の分野は,今後も拡大していく」(西田氏)。

 同社では,このように拡大するヘルスケア・メディカル市場で,業界成長率を大幅に超える年率117%の売り上げ伸長を計画。2001年度で500億円,2005年には1000億円の販売目標を掲げている。販売目標では,同社が以前から手掛けている血糖値センサーなど「バイオ分野」が売り上げの中心を担っており,全体の5割前後を占めている。

 一方で,新しいニーズを生み出す新規分野の目玉として「健康機器」を挙げる同社。西田氏は「“健康トワレ”と“電子健康チェッカー”という健康機器の2本立てで,家庭内の健康を守っていく」という。

家庭の健康を守る(その1)「電子健康チェッカー」

 電子健康チェッカーは体温計,血圧計,脈拍計,血糖値計と,医師の指示に従って患部などを映し出すCCDカメラから構成されている。遠隔医療など外部と接続することを前提に設計されており,生体情報や問診情報,画像など,患者の各種情報を蓄積した「アクティブサーバ」を介して,患者と医師とのコミュニケーションを実現するという。DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)という医療画像機器データ蓄積用の世界標準的な通信プロトコルによって,ユーザー情報の漏洩を防止するなどセキュリティー対策も施されている。


遠隔診断を実現する電子健康チェッカー

 継続的な健康管理ができるこの電子健康チェッカーをベースに,ネットワークを介して医師から遠隔診断を受けられる「在宅ヘルスケア支援システム」が,すでに米国で実用化されており,一カ月400〜500ドルで同システムが利用できるという。

 日本でも,無医村や離島,船上といった環境での利用が期待されるが「ソフトのローカライズ程度で日本市場にもすぐに導入できる。後は厚生労働省の認可待ち」(同社)。

家庭の健康を守る(その1)「健康トワレ」

 「健康トワレ」は,便座に腰を下ろせば体重が分かり,アームレストに手を置けば体脂肪が測定され,排尿から尿糖値を調べることもできるという優れもの。実はこの商品,コンセプトモデルとして昨年から話が出ており,同社の次世代商品を展示する「eHIIハウス」にも,しっかり展示されている。

 お披露目からかなり経過している“新商品”だが,一方で開発が長引いており,商品化の予定も決まっていない。「体重計と体脂肪計をつけたくらいなら,いますぐにでも商品化は可能」(西田氏)というが,それでは,なぜ商品化が遅れているのか。


商品化が遅れている健康トワレ

 社外秘ということで詳しくは教えてもらえなかったが,どうやら生体情報を取得するシステムの開発で手間取っているようだ。現時点で公表している体重,体脂肪,尿糖を計測する機能以外に,同社バイオ分野のテクノロジーを活かした,かなり詳細な健康データの取得を狙っている様子だ。確かに,排尿や排便を徹底的に分析すれば,健康管理だけでなく病気の早期発見などにも役立ちそうだ。

 「電子健康チェッカーは自分から積極的に計測しようとしなければいけないが,その点で,生理現象というのは強い。トイレの中が,家庭の健康管理室という役割になる」(西田氏)。

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[西坂真人, ITmedia]

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