News 2001年7月13日 11:50 PM 更新

いつになったら使える? 日本語ドメイン

URLやメールアドレスを日本語で入力できる日本語ドメイン。だが,せっかく登録したのに,なかなか運用が始まらない。いつになったら,使えるようになるのだろうか。

 昨年11月に登録がスタートしてから,もう8カ月が経過した日本語ドメイン。だが,今のところは,一部でテスト運用が行われているだけだ。せっかく登録した日本語ドメインは,これまでずっと塩漬けになっている。

 多言語ドメインの本格運用が始まらないのは,インターネットプロトコル標準化団体のIETFで,仕様の標準化が完了していないためだ。IETF内で,多言語ドメインの標準化に取り組んでいるIDN WG(Internationalizde Domain Name Working Group)のJames Seng議長は13日,記者会見を行ったが,この点について「多言語ドメインの本格運用までには,まだまだ長い道のりがある。がっかりさせるわけではないが,かといってすぐに実施できるものでもない」と話す。

 問題になっていたのは,各国の言語からASCII文字に変換するアルゴリズムの標準化だった。散々手間取った挙句,ようやく「DUDE」(Differntial Unicode Domain Encoding)という方式に決まりつつあるが,これまで,米Verising GRSや社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)では,「RACE」(Row-based ASCII Compatible Encoding)と呼ばれる方式でテスト運用を行ってきた。

 また日本語ドメインの場合,「ひら仮名」「かた仮名」「漢字」(例えば,かいしゃ.jp,カイシャ.jp,会社.jpなど)を1種類のドメインとして扱うかどうかや,そもそも日本語で入力する場合,「ドット」は「.」にするのかなどの課題もあった。ただ,Seng氏は「(これらは)技術的に大きな問題というわけではない。多言語ドメインの導入について20カ月以上も作業を行っており,完成度は上がっている」と強調した。

 現時点では,IETFでの大きな課題はほぼクリアされたと見ていいようだ。それでは,標準化はいつ完了するのか。Seng氏はこれについて「“できるだけ早く”というのが最高だが,いろいろな手続きを考えると,現実的にはあと6カ月は必要だろう」と述べるにとどまった。

 6カ月後とすれば,年内標準化がギリギリというところ。来年にずれ込む可能性も十分ありそうだ。いずれにせよ確実に言えるのは,昨年11月に多言語ドメインを“テスト登録”したユーザーは,使わないうちに更新の時期を迎えることになりそうなことだ。

 だが,IETFの仕様標準化が済んでも,それで運用開始というわけにはいかない。というのも,URLやメールアドレスに日本語ドメインを入力できるようになるには,ブラウザやメールソフトが多言語ドメインに対応する必要があるからだ。

 「最終的には,ソフトウェアベンダーへの働きかけが非常に重要になる」(Seng氏)というように,標準化の策定は,ソフトウェアベンダーの対応開始を意味するにすぎない。半年先に標準化が完了したとしても,実際にエンドユーザーが多言語ドメインを使えるようになるのは,まだまだ先のことになる。

 せっかく登録した日本語ドメインだが,この塩漬け状態を,もうしばらく覚悟しなくてはならないようだ。

関連記事
▼ 日本語ドメインの申請が減少──汎用JPドメインの先願登録
▼ JPドメインはどこへ向かう?──変革の時を迎えるドメイン

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.