News 2001年7月19日 07:19 PM 更新

パケット通信費は16倍,アダルトDVDは2.7倍――デジタルコンテンツの“今”がわかる「白書」の見どころ

デジタルコンテンツ協会が,日本のデジタルコンテンツ市場の現在と展望がわかる「デジタルコンテンツ白書2001」を発刊した。今年は12兆256億円まで膨らむという同市場だが,前評判の高い割りに,大きな課題を抱える分野が少なくないことも,同白書では指摘している。

 財団法人デジタルコンテンツ協会は7月18日,日本のデジタルコンテンツ市場の実態をまとめた「デジタルコンテンツ白書2001」を発刊した。白書によると,2000年のデジタルコンテンツ関連の市場規模は,対前年比29.8%増の9兆9735億円。2001年度にはこれが20.6%増の12兆256億円まで拡大,引き続き高い伸びを示すと予測している。


日本のデジタルコンテンツ市場が分かる「デジタルコンテンツ白書2001」

 白書では,2000年のデジタルコンテンツ市場が急拡大した牽引役として,DVDを中心とした映像系パッケージコンテンツを挙げている。DVD再生機能を持つPS2や,安価なDVDプレーヤーの普及などハード面が大きく貢献したほか,マルチアングルやデータベース機能などDVDソフトの特色を活かした音楽DVDが,売り上げを大きく伸ばしたのが寄与した。また,市場創造期に目立った動きを示すことが多いアダルトコンテンツは,DVDタイトル数が前年の2.7倍に増え,全体の6割がDVDになっている。

 

 携帯電話の爆発的な普及に伴って,iモードなど携帯電話向けコンテンツが大きく伸びたことも目立つ点だ。ただ,パケット通信費は対前年比16倍と爆発的に増加しているものの,有料コンテンツとなると,一人当たりの利用件数が横ばいと振るわない。端末の普及が追い風となっているが,その加入者も数年内に頭打ちになる。このため同白書では「今後はコンテンツ主導の市場活性化が求められる」と警鐘を鳴らしている。

 一方,ネットワークコンテンツは,期待された映像・音楽配信が「市場形成に苦戦して伸び悩んでいる」。ナローバンドの通信環境ではユーザーが満足するコンテンツを配信できないことや,利用にPCや専用端末が必要な点,配信方式の乱立,課金システムの操作性の悪さなどを,白書ではその理由として挙げている。ただ,ナローバンドでも十分楽しめるオンライン対戦ゲームなどゲーム/ソフトウェア系コンテンツは,対前年比125%増と大きく伸ばしているのが興味深いところだ。

 注目度の高いデジタル放送については,「加入者数は増加傾向にあるが,BSデジタル放送の普及ペースに不安」と評価している。長引く不況で高価な受信端末が敬遠されている点や,東経110度CSデジタルや地上波デジタルなど,今後の放送サービスを見据えたユーザーの買い控えが起きている点に問題があるようだ。

 今回の白書では「ブロードバンド時代のリッチコンテンツ」と題した特集が組まれており,本格普及を迎えたブロードバンド時代におけるデジタルコンテンツの方向性を示している。映像配信がブロードバンドコンテンツの本命といわれる中,インターネット放送が実際に普及するには,高速性,常時接続,定額制といったインフラ整備によってユーザーが利用しやすくなることが重要,というのがその主張だ。

 特集の中で興味深いのは,メディア産業の発展普及には必ず「既存メディアのモノマネからオリジナルソフトの開発」というプロセスをたどっていると指摘している点だ。例えば,映画は小説や演劇,オペラの影響を受けながらクローズアップや移動撮影といったオリジナルの表現形式を確立,テレビもラジオや演劇,映画の模倣から次第に独自の表現を開発していった。従って,デジタルコンテンツも「インターネットやモバイルのメディア特性にあったオリジナル性を獲得したときに初めて爆発的に伸長する」と予測する。

 ビジネスモデルの独自性が重要であることも,この特集の指摘するところだ。とかくの話題があったNapsterやGnutellaなどのP2Pツールについて,同白書は著作権問題などのリスクを指摘しつつも,P2Pという新たなビジネスモデルそのものには注目すべきである,と述べている。デジタルコンテンツビジネスが離陸するためには,P2Pのようなネットワーク性を生かした新たなビジネスモデルの成立が不可欠,というわけだ。

 デジタルコンテンツ協会は,マルチメディアコンテンツ振興協会(MMCA)と新映像産業推進センター(HVC)という2つの財団法人が統合して今年4月に発足した。デジタルコンテンツ白書は,これまでMMCAが発行してきた「マルチメディア白書」とHVCが発行してきた「新映像産業白書」の内容を統合したもので,今回の2001年版は創刊号にあたる。価格は4500円。

関連リンク
▼ 財団法人デジタルコンテンツ協会

[西坂真人, ITmedia]

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