News 2001年7月23日 11:26 PM 更新

iモードで町内単位の天気が分かる“超ピンポイント天気予報”

iモード公式サイトで7月16日からサービスが始まった「お天気横丁」では,2キロメートル四方というピンポイントの天気情報を10分ごとに提供している。“気象庁発表”ではない天気予報が提供可能な理由は?

 TVの天気予報では「曇り」だったのに,突然の雨に降られてビショビショ……。このような経験は,誰にでもあるはずだ。「晴れのち曇り,ところによりにわか雨」なんて曖昧な予報に,傘を持っていくべきか悩んでしまうことも多いだろう。だが,天気予報というのは,気象庁発表だけでないことをご存知だろうか?

 iモード公式サイトで7月16日からサービスが始まった天気予報サイト「お天気横丁」は,町内単位(2キロメートル四方)の天気が分かる"超ピンポイント気象予報"がセールスポイントだ。このようなピンポイントの気象状況の変化を,10分刻みで24時間先まで予測可能だという。


iモード公式サイトでサービスが始まった天気予報サイト「お天気横丁」

 コンテンツの内容も,現在の天気や気温はもちろんのこと,降水状況の4段階表示(無,弱,並,強),24時間先までの傘の必要度,警報・注意報案内など,細かい情報を提供している。

 例えば,「仕事帰りに一杯飲みたい。暑いからビアガーデンがいいのだが,今から5時間後の港区赤坂3丁目の天気はどうだろう?」というように,細かい時間指定や絞り込んだ場所を指定しての天気予報を可能としている。場所の指定も,住所や郵便番号以外に,空港,JR駅名,高速道路,ショッピングモールなど,さまざまな場所から検索できる。勤務先や自宅など常に天気が知りたい場所をメモリーしておく機能や,雨雲の状況が分かるレーダー画像を見ることもできる。

 お天気横丁の有料コンテンツは,月額100円で何度でも利用できる。7月中に限り,全てのコンテンツの閲覧が無料となっている。


雨雲の状況が分かるレーダー図も,iモード画面で見ることができる

 現在,天気予報事業を行う民間企業は,全国に40社以上ある。これら民間気象会社は,基本的に気象庁が発表する天気図やレーダー情報など気象データをもとに,地域に特化した予報や「ビール指数」など独自の内容を付加して,天気に関するさまざまな情報を提供している。

 しかし肝心の“天気の予報”の頻度はというと,朝,昼,夕方の1日3回しか情報更新しない民間気象会社も多い。一部の民間気象会社では更新時間の短縮を目指しているところもあるが,それでも1時間ごとの更新といった程度。これでは,30分ほどで通過する雷雲など,突然の激しい気象現象には対応できないのが現状だ。

 今回の天気予報サービスを提供するデジタルウェザープラットフォーム(DWP)は,天気予報事業を行うために1998年にできたベンチャー企業だ。DWPの特徴は,民間気象会社では唯一,自前で気象レーダーを所有している点にある。このレーダーは気象庁のレーダーとは違う測定方式であるため,気象庁発表をもとにした他の民間気象会社とは一線を画し,独自データをプラスした予報ができる。

 DWPではその独自情報をもとに,気象予報士の資格を持つ10人のベテラン予報官がオリジナルの予報を行っている。気象庁が発表する予報データは,日本全国を20キロメートル四方で区切って解析したものだが,「DWPでは独自のアルゴリズムと観測機器データによって,2キロメートル四方で解析できる。これは面積比率でいうと100分の1の精度となる。これにより測定地点は37万ポイントに及ぶ」(DWP広報担当の菊池茂男氏)。


伊豆大島に設置されたDWPの二重偏波ドップラーレーダー

 DWPの秘密兵器ともいえる独自の気象レーダーは,電波のドップラー効果を利用している。「二重偏波ドップラーレーダー」と呼ばれる,伊豆大島に設置されたこのレーダーは「気象庁が利用している通常のレーダーでは判定することができない雨,雪,ひょう,あられなどを区別したり,風の状態,雷の発生などが把握できる。さらに雲の状態を三次元グラフィックス処理で立体的に確認することも可能」(菊池氏)という優れものだ。

 このようなレーダーは,資金さえあれば簡単に設置できるというものではないらしい。「強い電波を発するレーダーは,なかなか認可されない」(菊池氏)というのが現状だという。

 それでも現在DWPでは,北関東,中部,関西,九州の4地区に新しいレーダー設置の申請を行っており,中部地区は今秋にも稼動する予定だという。「2〜3年以内に全国レーダー網を完備させ,予報精度をさらに向上させる。将来的には,次世代携帯電話やGISを利用して,全国どこにいても今自分のいる場所の詳細な気象情報を入手できるようにしたい。カーナビとの連携も検討している」(菊池氏)。

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[西坂真人, ITmedia]

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