News 2001年7月24日 11:18 PM 更新

「Attayo!」でヤフーに挑戦するNECのBIGLOBE戦略

国内第2位のISPであるBIGLOBE。NECはBIGLOBEの検索機能を強化することで「第2のBIGLOBE」を立ち上げる計画だ。なぜ今,検索サービスなのか? NECの戦略を分析する。

 NECがBIGLOBEの検索機能である「BIGLOBEサーチ」をリニューアル。7月24日に「Attayo!」(http://attayo.jp/)を開設した。検索サービスの名前が「あったよ!(Attayo!――正式には,BIGLOBEサーチ Version2 “Attayo!”という)」とは,かなり直球勝負な印象だが,今回のリニューアルで,“基本的な”検索機能が強化されたわけではない。

 というのも,NECは昨年11月に米Googleと提携,今年1月にはディレクトリ型サーチの検索結果を重要度順に表示するサービスを持つ豪BTLookSmartと提携するなど,BIGLOBEサーチの機能拡充を図ってきた(1月10日の記事参照)。既に,検索サービスとしては必要十分な機能を備えているからだ。

 では,Attayo!のセールスポイントはどこにあるのか? それは,iモードへの対応とブックマーク&更新通知機能の導入,ならびにBIGLOBEにある各種専門データベースとの連携だ。つまり,キーワード検索やディレクトリ検索の“周囲”を固める格好だ。以下に,Attayo!の特徴をまとめてみた。

iモードサーチ機能:PCからiモード用サイトを検索することが可能。検索結果は,そのまま電子メールでiモード対応携帯電話に送信することができる。NECによれば,検索対象サイトは一般・公式サイトあわせて100万。年度内にEZweb,ならびにJ-Sky端末にも対応する予定。

BIGLOBEバインダ:サーバサイドでブックマーク機能を用意し,通常のWebサイトのほか,iモードサイトなどの管理が可能。また,ブックマークしたWebサイトが更新された場合には,電子メールで通知する機能を備える。サイトレイアウトのカスタマイズも可能。

専門データベースとの連携:検索結果に対し,「飲食店」「ショッピング」「メルマガ」など,BIGLOBEが提供する各種サービスと絡めた検索が可能。BIGLOBEが提供する有料コンテンツサービスへの誘導を図るのが狙い

「第2のBIGLOBE」の誕生

 BIGLOBE事業を統括するNEC パーソナルサービス事業部長の佐久間洋氏は,検索サービスの強化は,「第2のBIGLOBE」の実現に向けた初めの1歩だと説明する。

 第2のBIGLOBEとは,ISP事業を手がける「BIGLOBE」とは別に,検索サービスを中核としたBIGLOBEの誕生を意味する。それは,佐久間氏が「今回の検索機能強化はインターネット接続サービスの会員増加を目的としたものではない」と明言していることからもうかがえる。

 佐久間氏は第2のBIGLOBEが必要な理由を,「今なぜ検索なのかという疑問を感じるのは良く分かる」と前置きした上で,次のように説明した。

 「ブロードバンド時代には,検索サービスはより重要性を増してくる。人々のネット使用時間が増えれば増えるほど,必要とされる情報も増加する。だが,現状の検索サービスは,検索結果の数が多ければいいという傾向にあり,情報の余計な氾濫を招いている。これからは,厳選された良質なコンテンツをいかにパーソナライズして提供するかがカギとなる」。

 佐久間氏は「NECの検索技術にはそれを実現する力がある」という。今回のAttayo!では,検索語から単に検索結果を表示するだけでなく,関連するサイトを「推薦」する「的中ナビ」という独自技術が盛り込まれている。また,iモードサーチ機能の裏側では,ロボットが収集したWebページの特徴からiモードページのみを抽出する「iモードページ判定技術」が使われている。これもNECの研究所が開発したものだ。

 NECがAttayo!で単なる検索サービスの枠を超えた「第2のBIGLOBE」を打ち出したことは,Yahoo! JAPANに対する事実上の宣戦布告である。そしてBIGLOBEの武器は,「Attayo!の導入にともない,パーソナライズ情報を活用したマーケティングサービスの展開を目指す。当初は,キーワード連動型の広告商品の販売から始めることになる」(佐久間氏)。初年度は,30億円の売上げが目標だ。

 Yahoo!がADSL接続サービスでISP事業に参入し,BIGLOBEが検索サービス事業に本腰を入れる――。クロスカウンターのように交錯する両者の戦略は,ユーザーへのリーチを拡大するという意味において,ベクトルは同じ方向にある。成長を止めないために,ISPと検索サイトはボーダーレス時代を迎えたようだ。

関連リンク
▼ Attayo!
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[中村琢磨, ITmedia]

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