News 2001年7月24日 11:55 PM 更新

「ここまでやっちゃいました」 日立のサッカーPC

サッカーPC。「どうせ,ちょこちょこっとデザインを変えただけだろう」などと思ってはいけない。関係者の熱い思いが込められた逸品なのだ。

 今度は「サッカーPC」ときた。日立製作所の特定用途向けPCの新製品だ。将棋パソコンや,アイスホッケークラブ「HC日光アイスバックス」公認モデルなど,数々の伝説(?)を残してきた特定用途向けPCだが,日立では「これまでの製品はサッカーPCのための布石に過ぎなかった」と言い切る。

 よほどの自信作のようだが,一体どれほどのものと言うのだろうか。熱烈なサッカーファンなので,中途半端なものだったら思いっきり批判記事を書くしかない。他のことはともかく,サッカーとなったら話は別だ。

 が,そんな考えも,「FLORA 11」と名付けられたサッカーPCを見た瞬間に消えてしまった。目にしたときまず思ったのは,「まいった」である。

 “太陽王の名のもとに”というキャッチフレーズの「柏レイソルモデル」(日立はレイソルのメインスポンサー),ならびに“勇者の証”というRPGゲームのような雰囲気の「日本代表モデル」。ともに素晴らしい完成度を誇っている。

 9工程の焼付け塗装を施したという日本代表モデルのブルーのきょう体は,クリアコーティング仕上げのおかげもあって,まるでイタリア代表のアズーリ(青)のようにまさに真っ青(編注:日本代表の青はジャパンブルーというのだ! ちなみに青の部分には日本サッカー協会のシンボルマークである八咫烏(三本足の烏)の模様が描かれている)。これは「塗装現場に立ち会って,理想の色が出るまで何度も塗りなおした」という苦労の賜物だ。

 一番笑った,いや感動したのは,塗装ではなく,ポインティングパッド部分(写真)。緑と白のピッチが見事に再現されているではないか! このアイデアは「長方形だったので,当然,サッカーコート」という軽いノリから生まれたものだという。さらに,その横にある「Pスイッチ」(ワンタッチで画面の上下反転が可能)も,もちろん「丸かったのでサッカーボールにした」。勢いだけで突っ走った感じもするサッカーPCだが,「ここまでやっちゃいました」と実は確信犯だったりもする。


記者会見に登場したレイソルの明神智和選手(左)と北嶋秀朗選手

 記者会見では,日立の担当者が「普段は型にはまった仕事をしているが,サッカーPCは,趣味というか,関係者全員の情熱が込められている」と熱いコメント。思わず,「人間,情熱があるとやっぱり良い物をつくるんだなぁ」などと感心してしまった。

愛のムチ!?

 ただ,ちょっと気になることがが1つ。日立は,日本代表の公式スポンサーではなかったような気がするのだが……。なぜ日本代表モデルを? しかもレイソルモデルより手間ひまかかっているというではないか。

 まさか,レイソルモデルだけだと“パンチが弱い”から日本代表モデルも用意したということだろうか? そういえば,生産台数もレイソルモデルが1000台に対し,日本代表モデルは4000台。いや,そもそも,よくよく考えれば,サッカーPCという名称自体,レイソルモデルに限定しているわけではない。HC日光アイスバックスのときは,選手・会員向けで製品化したのに……。

 優勝候補と言われながら,ファーストステージは6位に甘んじたレイソル。今回のメインスポンサーの「愛のムチ」をばねに,セカンドステージは目指せ優勝!!

 なお,サッカーPCのスペックと価格が知りたい人は,こちらを参照してほしい。

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[中村琢磨, ITmedia]

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