News 2001年7月25日 11:19 PM 更新

コダック,置くだけでいい超“カンタン”デジカメ発表

コダックの新しいデジカメには“DC”の型番が冠されていない。型番も変えて心機一転を図った新製品には,今後のデジカメのトレンド“カンタン”を実現する新システムが採用されている。

 コダックは7月25日,デジタルカメラの新製品「Kodak EasyShare(イージーシェア)DX3600 Zoom」を発表した。本体をカメラドック(クレードル)に置いてボタンを押すだけで,撮影したデジタル画像を転送・送信・プリントできる「Kodak EasyShareシステム」を採用している。10月中旬より発売予定で,価格は6万3000円。実売は,5万円前後となる見込みだ。


コダックの新デジカメ「DX3600 Zoom」とカメラドック

 老舗コダックが久しぶりに発表したコンシューマ向けデジカメの新製品。その型番は,なんと同社が長年デジカメに冠してきた「DC」をやめて,「DX」に変更されている。

 “DigitalCamera”を表すDCを型番に使うというのは,デジカメ創世記から普及に努めてきた同社に与えられた特権のようなもの。同社初のデジカメ普及機「DC40」が世に出てきたときの衝撃は,今でも鮮明に覚えているユーザーも多いだろう。DC40は,QuickTakeという名でAppleにOEM供給していたこともあり,マックユーザーにも懐かしい名前ではないだろうか。

 その“DC”から,新しい型番“DX”に変わった新製品は,これまでの同社デジカメと何が違うのだろうか。

充電だけじゃないクレードル

 DX3600 Zoomは,デジカメ本体とカメラドックとがセットになっている。携帯電話のように,カメラドックに置くだけで充電が始まるというクレードル方式は,デジカメでは富士写真フィルムFinePix 40iや,リコーCaplio RR10が採用している。携帯MDプレーヤーの充電にも使われ始めたこのシステムは,充電の際のセッティングのわずらわしさを解消し,頻繁に充電をするエレクトロニクス機器には便利な方式だ。同社ではこのカメラドックを,単に充電やPC接続のためのインタフェースに終わらせなかった。それが,Kodak EasyShareシステムだ。


カメラドックに設置した状態。デジカメ本体を置くと,すぐに充電が始まる

 デジカメ本体を置いて,カメラドックにあるボタンを押すだけで,PC上で専用ソフトウェア「Kodakピクチャーソフトウエア」が自動的に起動する(もちろん,PCが動作していることが条件)。PCへの画像転送やメールに画像を添付して送信,プリンターへの画像出力,インターネット経由によるプリント注文といった作業が,Kodakピクチャーソフトウエアという1つのアプリケーションで行えるのが今回の新製品のセールスポイントだ。

 インターネットによるプリント注文は,同社のWebサービス「Print@kodak」や「PhotoClick@Retail」を経由して行われる。プリントの受け取りは,指定店舗へ引き取りに行く方法と,自宅へ郵送してもらう方法がある。このように,撮影からプリントまで一貫したシステムで「デジタル写真が誰にでもカンタンに扱える」(同社)ようにしたのが,Kodak EasyShareシステムの特徴だ。

「1999年は“画素”,2000年は“スタイル”がデジカメに求められていた。2001年以降は,“カンタン”がデジカメのトレンドになっていく」(同社)。その新しいトレンドを先取りしたことを明確に打ち出すためにも,あえて慣れ親しんだ型番を捨て,「新しい型番」を採用する必要が同社にはあったわけだ。「今後,カメラドック対応のデジカメには“DX”という型番をつけていく」(同社)。


X3600 Zoomの背面。「エントリーユーザーを意識して,操作ボタンを少なくしてある」(同社)

 “カンタン”操作で,エントリーユーザー獲得を狙うDX3600 Zoomだが,その製品上の性格からか,スペック面では特に目立ったところはない。主な仕様は,以下の通りだ。

製品名 DX3600 Zoom
撮像素子 1/2.6インチ原色正方230万画素CCD(有効220万画素)
記録画素数 静止画:最高1800×1200ピクセル,動画:320×240ピクセル
記録方式 JPEG,Exif Ver.2.1(DCF準拠,DPOF対応),QuickTime(動画)
レンズ 光学2倍ズーム(35〜70ミリ相当),5群6枚(非球面レンズ2枚含む)
絞り F3.3〜4.5
デジタルズーム 3倍
露出制御 プログラムAE(マルチパターン測光)
ISO感度 オート(ISO100/200)
シャッタースピード 1/8〜1/1200秒
ホワイトバランス オート
液晶モニタ 1.8型D-TFD液晶
記録メディア コンパクトフラッシュ
電源 単3型ニッケル水素バッテリパック,ACアダプタ(DC200シリーズ用)
サイズ 120(幅)×74(高さ)×50(厚さ)ミリ
重量 230グラム(CFカード,バッテリ含まず)
価格 6万3000円

 注目したいのは,Quick time形式による「動画の連続撮影」に対応している点だ。同社の動画撮影は,メモリ容量と電池が続く限り連続で行えるというもので,ちょっとしたDVカメラ的使い方ができるのが特徴だ。同社の異色デジカメ(「mc3」)で実現したこの連続撮影機能は,今回の新製品にも,しっかり搭載されている。

 動画は320×240ピクセルの「高画質」と160×120ピクセルの「標準画質」の2つの解像度で撮影できる。標準画質モードで撮影した場合,8Mバイトの内蔵メモリに90秒の動画が記録できる。大容量のCFカードを利用すれば,長時間の連続動画撮影が可能となる。残念なのは,マイクロドライブに対応していない点。「次期モデルでは,マイクロドライブも検討したい」と同社は話していた。

番外編「カメラドックに謎の三脚穴」


カメラドックの裏には,謎の三脚ネジ穴が……

 なにげなくカメラドックを裏返してみると,そこには三脚用ネジ穴があった。もちろんデジカメ本体には,三脚穴が装備されている。デジカメも立派なカメラなので,三脚穴は“あって当然”の機能だが,クレードル部分にまで装備する必要性が浮かんでこない。

 尋ねてみると,なんてことはない「盗難防止のため」(同社)とのこと。日本に比べ治安のよくない米国では,デジカメを展示するときに三脚穴で固定することが多いのだそうだ。クレードルごと展示するに当たって「三脚穴を付けておいたほうがいいだろう」ぐらいの軽いノリによる装備だという。なにか別の使われ方を期待していただけに,少々あて外れだった。

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