News 2001年7月30日 11:33 PM 更新

DirectX 8.1リリースはXP発売以降――Meltdown Tokyo 2001

マイクロソフトが30日に行ったデベロッパー向けカンファレンスでは,DirectX 8.1の概要やWindows XPアプリケーション開発にあたっての注意点などが示された。

 マイクロソフトは7月30日,ゲーム/マルチメディア用API「DirectX」に関する最新情報の提供と互換性テストを行うデベロッパー向けカンファレンス「Meltdown Tokyo 2001」を開催した。

 基調講演に立ったMicrosoft Graphics and Gaming TechnologiesグループのChanning Verbeck氏は,DirectXのロードマップに触れ,Windows XPの発売と同時に公開されるとみられていた最新バージョンDirectX 8.1が,Windows XPの発売から少し遅れてリリースされる予定であることを明らかにした。なお,DirectX 8.1公開の正確な日程は発表されなかった。


DirectX 8.1について語るChanning Verbeck氏

 DirectX 8.1には,Windows XPのグラフィックス,ネットワーク,入力関連の強化内容が含まれているほか,ピクセルシェーダの追加命令やオーディオ/ビデオコンポーネントへのポイントフィックスが行われている。なお,DirectX 8.1が対応するOSはWindows98以降で,Windows 95はサポートされない。DirectX次期バージョン(DirectX 9)のリリース時期については「2002年夏を予定している」(同氏)。

 ゲームプラットフォームとしてのWindows XPの機能紹介が中心となったVerbeck氏の基調講演では,Windows XPの高い安定性やドライバの向上,グラフィックスのパフォーマンス向上,インターネット接続の共有などネットワーク機能の強化,アプリケーションサポートの強化などが紹介された。「家庭用として優れたOSは,ゲームでも優れている。さらに開発者向けOSとしても優秀である」(Verbeck氏)。

 会場では,DirectXを採用しているX-Boxとの開発環境の互換性について質問が出た。Verbeck氏によると,PCゲームと全く同じ開発環境ではないものの,オーサリングツールやアニメーションツールなどいくつかの開発ツールはPCと同じものを使っており「すこしの努力で,PCゲームとXBoxの開発環境は共有できる」という。

 またVerbeck氏は,Windows XPに対応するハード/ソフトの品質や機能に関するガイドライン「Designed for Windowsロゴプログラム」にも触れた。


Designed for Windowsロゴプログラム

 Windows XPでは,互換性や信頼性を検証したデジタルサイン入りのドライバ以外を組み込もうとした際,信頼性に対する警告を行う「Designed for Windowsロゴプログラム」という機能が加わっている。

 このロゴプログラムはあくまでも警告であって,ドライバが署名されていなくてもインストールすることは可能という。しかし“このドライバはPCの安定性に障害を及ぼす可能性がある”という警告がダイアログボックスによってユーザーに示される。「ほとんどのユーザーは,インストールしないだろう。リスクが高いという警告を受けてまで,そのドライバを使おうとするユーザーがいるだろうか」とVerbeck氏は語り,ドライバ開発者に向けてロゴプログラムの署名取得を促した。

 Direct3D,DirectDraw,DirectPlay,DirectShowなど数々のAPI群の集合体であるDirectXは,ほぼ1年に1回,新バージョンがリリースされる。このDirectXは,ハードウェアベンダーやソフトウェアベンダーの声を基に仕様を作成し,スペックレビューやベータテストを通してフィードバックしたものを活かしながら開発されている。

 Meltdownは,はDirectX の開発者に新機能のリクエストやバグレポートを含む“生の声”を聞く絶好の機会として,毎年開催されている。今年のMeltdown Tokyo 2001は,DirectShowに関するセッションを新設。ストリーミングビデオ/オーディオを処理するDirectShowは,DirectX 8で新たに追加されたコンポーネントだが,セッションでは,DirectX Media Object(DMO)やDirectShow 編集サービス(DES),Windows Media Technology との統合など,ストリーミングプログラミングに必要な技術を紹介した。


DirectXのグラフィックスアーキテクチャ

 今秋に発売予定のWindows XPは,Windows 3.1からWindows 95へのプラットフォーム移行以来,6年ぶりの大掛かりなプラットフォーム移行だ。「Windows XPは,Windows 2000ベースのエンジンをコンシューマに使ってもらおうというマイクロソフトのアグレッシブな挑戦。コンシューマユーザーのところで問題なく動作するよう,開発者の皆さんと一緒に仕事をしていきたい」(製品マーケティング本部の川西裕幸氏)。

 なお,セミナーでは,アンケートに協力した参加者全員にWindowsXPのRC1日本語版が配布されている。

 DirectX8.1では,とうとうWindows95がサポート外となった。次期DirectX 9は,Windows98やWindows Meでは動作しなくなる。マイクロソフトは昨年より,Windows2000ベースのアーキテクチャーによるゲーム開発を,デベロッパーに促していた。今秋のWindows XP登場によって,ゲームのプラットフォームも,Windows98/MeからWindows2000/XPへと移行していくことになるだろう。

関連リンク
▼ マイクロソフト
▼ Meltdown Tokyo 2001のホームページ
▼ DirectXのホームページ

[西坂真人, ITmedia]

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