News 2001年8月10日 11:59 PM 更新

2Dのゲームも迫力の3D映像に変える3D変換アダプタ

ゲーム機とモニタの間にかませるだけで,ごく普通の2Dゲームをリアルタイムで3D映像化できる変換アダプタが発表された。ビデオ信号を視差を利用して擬似3D化する仕組みなので,ゲーム以外のビデオやDVDにも利用できる。

 3次元映像変換技術のスリーディ・コムは8月10日,家庭用TVゲーム機などの映像を擬似的に3D化する3D変換アダプタ「3D TV Game Adapter」を発表した。変換アダプタと液晶シャッターメガネのセットで,価格は3万9800円。9月1日に発売される。


2Dのビデオ映像がリアルタイムで3D映像になる「3D TV Game Adapter」

 この3D TV Game Adapterは,人間の目の「視差」を利用して,2Dの映像を擬似的に3D化するものだ。人間の目は(個人差はあるだろうが)左右で65ミリ前後離れており,そのため,対象物を見る角度が左右の目で違ってくる。右目と左目を交互に閉じ,片目で同じ対象物を見比べれば,このことはすぐわかるはずだ。これが「視差」である。


視差がある画像を普通に見ると,このように2枚のズレた画像となる

 視差を利用した3D化そのものは,さほど珍しい話ではない。PCゲームソフトなどでも数多く採用されている。ただ,これまでのシステムでは,ソフトの制作段階で視差のある画面を映像に盛り込む方式がほとんどだった。ところが今回の新製品では,“通常の映像(ビデオ信号)”を視差のある映像にリアルタイムで変換する。そこがこれまでのシステムと異なる点だ。

 具体的には,TVゲーム機などのビデオ信号を,3D TV Game Adapter内部でデジタル処理し,視差のある2画面に変換する。実際にはそれほど単純なものではなく,輝度や濃淡レベル,表示角度などさまざまなデジタル処理を行なっているそうだが残念ながら技術的な詳しいことは「特許申請中ということもあり話せない」(同社)ということで,聞けなかった。

 変換された2つの画面は,モニタ上に左目用,右目用として高速で映し出される。左右どちらかの映像かという情報は,3D TV Game Adapter本体から赤外線で専用メガネに送信される。

 この専用メガネでは,液晶シャッターを使って映像を左右交互に高速に切り替えることで視差を生み出す。これによって,擬似的に3D立体映像が楽しめるという仕組みだ。液晶シャッターメガネは単体でも購入可能で,価格は3800円。3D TV Game Adapter本体1台で,最大10人まで3D映像を楽しむことができるという。


3D TV Game Adapterで,普通のTVゲームも3D映像で楽しめる。TVの上に置いてある本体から液晶シャッターメガネに情報が送られている

 発表会では,プレイステーション2やNINTENDO 64など家庭用ゲーム機の映像を3D化するデモが行われていたが,基本的にビデオ信号を処理するシステムなので,TVゲームだけでなく,DVDやVTRの映像でも3D化できる。

 ただ,3Dポリゴンを駆使した最近のTVゲームでは,ソフト開発段階から3D視差成分が含まれているケースが多いため,「3D TV Game Adapterを利用するとさらに立体視効果が強まる」と,同社ではゲームソフトで利用することを特に推奨していた。


3D TV Game Adapterで2つの画面を高速に切り替えた映像。メガネ無しでみると,このように見える

 実際にこの3D TV Game Adapterを使って3D映像を体験してみたが,確かにノーマル状態と比べて,奥行き感のある映像に変換されていた。動きの速い映像にも,しっかり対応しており,液晶シャッターメガネも,軽い装着感で長時間の使用にも十分耐えれそうだ。ただ,シャッター方式特有のちらつき感は3D映像に残っているから,ゲームにハマってどうしても長時間遊んでしまう向きには,ちょっと辛いかもしれない。

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▼ スリーディ・コム

[西坂真人, ITmedia]

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