News 2001年8月17日 08:15 PM 更新

高品質・低価格な液晶ディスプレイがなぜできるのか――日本エヌフレン・高田社長に聞く

大手メーカーと同等のクオリティを持つ液晶ディスプレイを低価格で提供する日本エヌフレン。後発メーカーながら,現在の液晶ディスプレイ市場を動かす立役者となっている。同市場の動向や今後の戦略を同社・高田社長に聞いた。

 日本エヌフレンは,昨年8月に液晶ディスプレイ市場へ参入した。今年に入って,15インチで6万円を切る低価格機やTV機能を搭載したモデルなどを次々と発売,後発メーカーながら現在のマーケットを賑わす立役者となっている。

 高田通孝社長に,液晶ディスプレイ市場の動向や同社の戦略,今後の方針について聞いた。


日本エヌフレンの高田社長

ZDNet なぜ,安くできるのか?

高田社長 最近の液晶ディスプレイの多くは,韓国や台湾の液晶メーカーが作った同じ液晶パネルを採用しているので,どのメーカーも製造原価というのは変わらないはず。液晶パネルの性能もここ1,2年で飛躍的に向上してきているので,メーカー間の性能の差も少なくなっている。

 つまり,製造レベルでのコストダウンは難しい状況となっている。そのため,社内のランニングコストや経費をできるだけ抑えたり,効率的な流通システムを構築するなど,徹底した販売管理費の削減を行って製品価格に還元している。

 また,日本ヒューレットパッカードのデスクトップPC(HPパビリオン2000)に採用されたり,ショップブランドのPCにセット販売されたりと,店頭販売以外の引き合いも多い。生産が伸びれば製造コストも当然安くなり,それが低価格にもつながっている。

ZDNet 液晶パネルのOEM調達先は?

高田社長 大手メーカーでも数多く採用されているLG Philips LCDの製品を使っている。

 液晶パネルは,同じサイズでも性能や品質ごとに何段階かに分けられているが,その中でも上位製品を採用しているため,品質には自信がある。安かろう悪かろうの商品では,後発メーカーの我々などすぐにユーザーから見放されてしまう。そのため,品質には妥協しない。

ZDNet 後発メーカーでは,Web直販中心というところもあるが,店頭販売に力を入れている理由は?

高田社長 昨年8月設立の後発メーカーなので,まずコンシューマ市場に商品を出して,「nfren」という“顔”を覚えてもらおうと思った。

 現在は,全国300店のPCショップで取り扱ってもらっている。PC本体ならば,CPUのクロック数やHDDの容量などスペックの数値で性能が判断できるため,Webでの販売も有効だと思う。しかし液晶ディスプレイは,やはり実際の画面を他社製品と見比べるなどして買いたいものだ。

 Web販売のみで,商品を見ることができない,触れない,ということでは,ユーザーに訴求するのは無理だと思う。

ZDNet 現在の人気商品は?

高田社長 今年2月に発売した15インチ液晶ディスプレイ「NF-1500MA」が,1番人気の商品。XGA(1024×768ピクセル)の解像度,200カンデラの輝度,250対1のコントラスト比など高いスペックを搭載しながら低価格な点や,薄型設計でシンプルなデザインなどが受けた。このほど価格を4万9800円に値下げしたことで,さらに引き合いが増えている。

 カラーは現在アイボリーとシルバーの2色だが,欧州でのみ発売していたチャコールグレーを8月末に限定販売する予定だ。


1番人気は,15インチでXGA表示のNF-1500MA

ZDNet 新製品の予定は?

高田社長 8月19日に発売予定のTVチューナー内蔵18インチ液晶ディスプレイ「NF-1800MAP」(12万8000円)への反響が大きい。SXGA(1280×1024ピクセル)という高解像度も売りだが,PIP(Picture In Picture)機能でPC画面上にTVを子画面として表示できる点も評価されているようだ。

 同様の機能を搭載した液晶ディスプレイは以前からあったが,18インチという大画面でこそPIP機能が生きてくる。液晶の18インチはCRTの21インチに相当するため,想像以上に大画面と感じるだろう。また,9月末までに17インチをラインアップに追加していく。


TVチューナー内蔵で18インチSXGA表示のNF-1800MAP

ZDNet 最近の液晶ディスプレイ市場の値下がりの要因は?

高田社長 ノートPCの需要が高まり,液晶パネルの生産台数が上がったことが大きい。また,以前は液晶ディスプレイの出荷先というと欧米や日本ぐらいだったが,今は中国での需要がすごい勢いで伸びている。

 生産調整などしなくても,需要があるのでコンスタントな生産が可能となり,それが歩留まり率の低下にもつながっている。つまり,生産が安定してきたことによって液晶パネルの価格も下がってきている。

ZDNet 今年後半の液晶ディスプレイ市場動向について。特に価格は,今後どこまで下がりそうか。

高田社長 15インチ,17インチ,18インチという3種類の画面サイズの価格差が,それそれ2万〜3万円以内になったときに,より大きいサイズへと移行していくと考えている。

 現在のマーケットのように17インチが7万9800円になったときには,15インチは5万9800円にまで下がらないと売れなくなるだろう。17インチは年内にも6万円台前半にまで下がるだろう。そうなると,15インチも4万円台前半にまで下がる可能性は十分考えられる。その時には18インチが10万円前後ではとても売れないので,必然的に8万円台にまで下がるとみている。

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[西坂真人, ITmedia]

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