News 2001年8月28日 11:04 PM 更新

次世代I/O技術「3GIO」がPCI 3.0搭載へ。製品の登場は2004年?

IntelがIDF2001で詳細を発表する次世代I/O技術「3GIO」が,2002年の初めにリリースされるPCI3.0に盛り込まれることが固まった。標準化団体PCI-SIGのチェアマンがZDNetの質問に答えたもので,同氏は3GIO搭載製品の登場は遅くても2004年になると予想している。

 PCIおよびその将来技術の標準化作業や技術サポートを行う業界団体のPCI-SIGは,Intel Developer Forumで詳細の発表が予定されている次世代I/O技術「3GIO」を,来年の初めにリリースを予定しているPCIの最新バージョンPCI 3.0に盛り込む。

 PCI 3.0は既存のPCI 2.2(および今年後半に発表予定のPCI 2.3)や,DDR PCIなどの仕様も含みつつ,ベンダーの選択肢としてPCI-SIGが標準化を行う3GIOも選択肢に加えることになる。3GIOの開発は年内にIntelからPCI−SIGへと引き継がれ,来年第1四半期にも標準仕様としてPCI-SIGから最初の仕様が発行される予定だ。PCI-SIGのプレジデント兼チェアマン(President and Chairman of the Board)のRoger Tipley氏に話を伺った。


3GIOのPCI 3.0搭載を語るPCI−SIGのTipley氏

 PCIと言えば,我々にとって一般的なのが,32ビット,33MHz,5ボルト(もしくは3.3ボルト)で動作するPCI拡張ボードとPCI拡張スロットだろう。しかし,PCIは拡張スロットだけでなく,PCIはPCの内部接続バスとして広く普及しており,チップセットのノースブリッジとサウスブリッジの接続にも利用されていた。また,派生仕様として64ビット版や66MHz版といった拡張仕様もある。

 さらにワークステーションやサーバ向けの広帯域なI/Oバス技術PCI-Xや,小型のカードでノートPCに設計の柔軟性を持たせるmini PCIも急速に普及が進んでいる。

 PC市場におけるPCIのシェアは100%であり,例外なくどこかでPCIが使われているという状況だ。現在,PCI-SIGには日本企業約140社を含む約900社が参加しており,将来のI/Oバスの標準化に関して強い影響力を発揮している。

 Tipley氏は3GIOのメリットについて「帯域の広さ,実装コストの安さ,無限とも言えるスケーラビリティの高さ,マルチメディアデータの転送を意識した高効率のプロトコルだ。ノートPCからデスクトップPC,そしてサーバに至るまで,広範な分野で使われるようになる」と話した。

 3GIOの詳細はIDFで明らかになるが,従来のバスのようにパラレル転送技術ではなく,少ないピン数で転送周波数を高めるシリアル転送技術であることが明らかになっている。もっとも低速な3GIOの1X技術で毎秒250Mバイトの帯域を4つのピン数で実現。8ピンの2X技術では毎秒500Mバイトに達する。さらに1X,2X技術から1年遅れて,それぞれの8倍の帯域を持つ8X,16X技術も,サーバ/ワークステーション向け技術として製品化される予定だ。

 現在,サーバ/ワークステーションがPCI-X,デスクトップPCがPCI,ノートPCではミニPCIが使われているが,Tipley氏によれば将来はすべてのセグメントで3GIOが使われるだろういう。ただ,従来機器との互換性の問題もあることから,サーバ/ワークステーションならばPCI-X DDR,デスクトップPCなら3.3ボルトPCI(PCI 3.0では5ボルトと共に3.3ボルトのサポートが必須となる)への移行オプションも選択できる。

 もっとも,ノートPC向けのミニPCIに関しては,先行して3GIOへの移行が進むだろうとPCI-SIGでは予想しているようだ。ピン数が少なく低コストで,消費電力も低い3GIOは,50ピンが必要な現行のミニPCIから移行するメリットが大きい。その上,ノートPCの内部拡張オプションであるため,エンドユーザーが気付かないところで移行が進めやすいからだ。

 ノートPC市場での3GIOは,2004年初め頃には実際の製品が投入される見込みという。デスクトップPCとサーバ/ワークステーション市場ではノートPCよりも若干遅れ,2004年の終わり頃に製品が投入される。これらはすべて1X,2X技術だが,2005年後半には8X,16X技術を製品化したサーバ/ワークステーションも登場する計画である。

 また,3GIOは拡張カードだけでなく,PC内部の接続にも応用される。例えば,ノースブリッジとサウスブリッジの接続などだ。また3GIOはホットプラグもサポートしているため,サーバにおける耐障害性やノートPCでのドッキング機構をサポートする上でも有効だという。

 高速の内部接続技術としては,AMDが推進しているHyper Transportもあるが,AMDはPCI-SIGのボードメンバーであり,3GIOに対して肯定的な立場を表明しているため,PCI-SIGの影響力を考えると3GIOが次世代の標準となることを疑う余地はない。3GIOのスペックや実装面でのサポートは,従来のPCIと同様にPCI-SIGメンバーに対して無償で提供される。

 エンドユーザーとしては,最終製品として3GIOを採用した製品を目にできるのが早くとも2004年という点が気になるが,Tipley氏は「現在の我々の計画は非常にコンサバティブなものだ。我々は企業ではなく標準化団体なので,あまり危険なスケジュールを示すわけにはいかない。十分に余裕を持ったスケジュールであることを伝えておきたい。実際の普及速度は市場に依存するが,ノートPC向けは非常に素早く移行するだろう」とコメントした。

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[本田雅一, ITmedia]

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