News | 2001年8月29日 09:18 PM 更新 |
ハイパワーなハイエンドPCは確かに高速だが,我が家に置くにはあまりにデカイ――そう思って敬遠している人も少なくないことだろう。Pentium 4マシンのシステム価格が,今後どんどん安くなっていくのは間違いない。だが,日本で売れっ子になるには,大々的なプロモーションをするより先に,ダイエットを敢行する必要がある。
現在のところPentium 4を搭載するPCのほとんどは,ATX,もしくはそれよりも若干小さいサイズのきょう体(筐体)を採用している。
ATXよりも小型のフォームファクタであるMicroATXでも,きょう体サイズはおおよそ25リッターほど。小型フォームファクタのFlexATX機の14リッター以下という数字にはとうてい及ばない。日本の売れ筋省スペースデスクトップPCに至っては,11リッタークラスを実現しているものが多く,MicroATXでも巨大に見えるほどだ。
Pentium 4マシンを小型化する際に,問題となるのが発熱。75ワットという熱設計電力スペックを持つPentium 4/2GHzを,効率よく冷やす手段を考えなければならないからだ。しかし,小型PCは内部スペースが狭く,空気の経路や流量を確保するのが難しい。
また,小型のPCはエンドユーザーの近くに置かれることが多く,小型で空気流量を確保し,かつ騒音も抑えなければならないという,かなり難しい複合的問題を解決する必要がある。
そこでIntelは,小型のPentium 4マシン開発を容易にするため,いくつかのテーマにチャレンジしたPCの仕様と冷却技術を開発している。目標は,Pentium 4/2GHzを搭載し,ロープロファイルのAGPを1スロットと,ロープロファイルPCIを2スロット備え,内蔵電源で9〜11リッターのサイズを実現。さらに騒音を35デシベル以下に抑える。
小型ながら空気流量を確保するため,マザーボードや各コンポーネントのレイアウトは従来の設計とは異なるものになっている。拡張カードで空気の流れが堰き止められず,すべてのコンポーネントに十分に空気が行き渡るように配慮したためだ。
|
33センチ角のマザーボードは空気の流れを阻害しないようにレイアウトの最適化が行われる |
また,小型のきょう体に合わせて160ワットの小型電源の仕様を決めている。この電源は0.9リッターと,ATX電源の1.6リッターの半分近いコンパクトさだ。また電源ファンは温度センサー付きで,不要時には回転しないようになっている。
これらの工夫により,9.8リッターというコンパクトサイズを実現しながら,Pentium 4/2GHzが搭載可能で,かつ拡張スロットも備えるPCをIntelは試作した。騒音レベルも目標値をクリアしている。
|
紹介された試作機 |
Intel Developer Forum会場では,この試作機は見かけなかった。だが,さらに小型化を目指したコンセプトPC用マザーボードを搭載したPCが,3機種展示されていた。マザーボードは「Depot Bay」と名付けられたもので,ロープロファイルAGPスロットが1つと,CNRスロットが1つ,それぞれ装備されている。
写真でもわかるとおり,日本の省スペースデスクトップPCと比較しても,さらにコンパクトな仕上がりは,かつて期待されながら市場には投入されなかった統合プロセッサTimnaを搭載したコンセプトPCを彷彿とさせる(2000年2月16日の記事)。
ただし,電源ユニットが外部になっているところが,前述した試作機と異なる。筆者は電源が外部であっても大きな問題ではないと思うが,いかがだろうか?
これら3つのPCは,いずれもあくまでコンセプトモデルではあるが,年末までのダイエットは成功できるのでは?と思わせるデキだった。
|
会場で展示されていた3つのコンセプトモデル |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.