News 2001年8月29日 11:58 PM 更新

“前近代的”な日本政府に,VISAが“近代的”決済システムを提案

ビザ・インターナショナルが日本政府に対し,カード決済の導入を提案していくという。「政府に対して,近代的な決済基盤の早期採用を促進する」と非常に強気な態度だが……。

 「VISAコーポレートカード」ならびに「VISAパーチェシングカード」は,なんと便利なのだろう。

 コーポレートカードは,社員が利用した旅費や交際費といった経費の利用履歴を管理することができる。一方,パーチェシングカードは,企業が物品購入する際の注文処理を合理化するもので,大幅なコスト削減をもたらすほか,監査機能が強化され,無駄な購入や不正使用の発見・防止が可能になる(便利なような,困ったような……)。

 ビザ・インターナショナルによれば,コーポレートカードを導入した企業の例では,経費管理が80%も削減されたほか,あるパーチェシングカード導入企業では平均73%の購買コスト削減を達成したという。

 そして,この決済ネットワーク運営などを担当するビザ・インターナショナル(VISA)は良いところに目をつけた。「日本政府に対しパーチェシングカードならびにコーポレートカードの導入を推奨し,近代的な決済基盤の早期採用を促進していく」(VISA)のだ。

 現金決済が原則になっている日本では,注文書や請求書の作成が頻雑で,支払い構造が何段階にも別れている。さらに,某お役所でタクシー代やホテル代の水増し請求が次々に明るみに出るなど,ご存じの通り,非常に“前近代的”な支払いシステムなのである。

 「米政府の報告によると,1998年よりカード決済に移行した米政府では,1999年度は購買カードによって11億ドルもの削減効果があったという。ほかの主要先進諸国も,カード決済システムを導入している。国内でも,カード決済に移行すれば現金処理に費やしているコストを年間数百億円規模で節減できる」(VISA)

 VISAは,日本政府を変えようと本気なのだなと,感心していたら今度は,

 「今回の提案は,日本政府のe-JAPAN計画を支援することが目的。決して,日本政府を批判しているわけではない」(VISA)とフォローしてみせた。

 あんまり吠えると,営業しにくくなるもんな。ただでさえ,管理はしても,管理されるのが大嫌いな人たちなのだから……。

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[中村琢磨, ITmedia]

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