News 2001年9月17日 10:33 PM 更新

タブレット機能付15インチTFT液晶ディスプレイ,ワコムが発売

ワコムが,15型TFT液晶ディスプレイにペンタブレット機能を搭載した新製品を発表した。直接ペン操作で液晶画面上に入力でき,液晶が“画板”に変身する。価格も一般ユーザーを意識した設定になっている。

 ワコムは9月17日,15型TFT液晶ディスプレイにペンタブレット機能を搭載した液晶ペンタブレット「Cintiq C-1500X」を発表した。同タブレットはペン操作で直接液晶画面上に入力でき,価格は16万8000円。9月22日に発売される。


液晶ディスプレイにペンで操作できる「Cintiq C-1500X」

 同製品のTFT液晶はXGA(1024×768ピクセル)表示で,1677万色フルカラーに対応している。視野角は上下左右に160度と広く,輝度は270カンデラ/平方メートル,コントラスト比は300対1。液晶ディスプレイは,45段階で角度調整することが可能だ。


45段階の角度調節ができる液晶ディスプレイ

 電磁誘導方式のペンはコードレスで,なおかつ電池がいらないため,シンプルで使いやすい。このペンは,512レベルの筆圧調整機構や消しゴム機能もサポートしている。液晶の両サイドにペンホルダーが取り付けられるようになっており,右利きだけでなく左利きユーザーにも使いやすくなっている。本体の重さは4.8キロなので,膝の上に置いたり手で持ちながら“画板”のように使うこともできる。


“画板”のように膝に置いて使うスタイルは,PC操作の自由度を広げる

 タブレットインタフェースは,USBとシリアル接続の両方式に対応している。また,液晶パネルの入力端子はアナログ信号とデジタル信号の両方式が使えるDVI-Iを装備しているため,WindowsマシンのほかMacintoshでも利用できる。

 そのほか,ペイントソフトや手書き機能付きメールソフト,手書き入力ソフトを同梱している。

 液晶ディスプレイにペンタブレット機能がついた製品は,同社では「PLシリーズ」という名称ですでにあった。ただ,これは主としてバーティカル市場向けのもので,国内では主に医療機関やピザ宅配業者などに向けて製品供給されてきた。電子カルテやCRMシステムなどといったものに使われてきたのだ。

 「電話を受けながらピザの種類を選択して,短時間でデリバリーするという時間を争うピザ宅配システムでは,入力端末への素早く的確な操作が求められる。だから,液晶タブレットが一番力を発揮する」(恵藤洋治社長)。

 今回のCintiqは,PLシリーズのコンシューマ版で,性能を向上させながらコストダウンを図っている。

 Cintiqの特徴は「直感的なインタフェース」に尽きるだろう。画面の操作したい場所にペンを持っていくだけで,ボタンのクリックやドラッグ&ドロップといった操作ができるのだ。


直感的なインタフェースがCintiqの特徴だ

 マウスの場合,マウスカーソルの位置を確認してカーソルの動きを追いながらマウスを操作していく。PCに慣れてしまった人なら苦も無いこういった作業が,子供やお年寄りのようなPC初心者には,結構難しい。マウスの操作が苦手で,PC嫌いになってしまう人も少なくない。キーボードアレルギーというのをよく聞くが,昔タイプライターを習っていたという50〜60歳代は結構多く,キーボード操作よりもむしろ,マウスの方がPC習得を阻害しているケースだってあるのだ。

 今後の課題は,さらなるコストダウンだろう。16万8000円という価格では,店頭の値引き分を差し引いても,やはり高値感は否めない。「大手メーカー製と同じ品質の高輝度・広視野角のディスプレイを採用してる」(同社)とはいえ,大手メーカー製でも7万〜8万円も出せば15インチ液晶ディスプレイが買える時代だ。

 もちろん,Cintiqにはペンタブレット機能が付いているのを忘れてはいけない。Cintiq C-1500Xの読み取り可能範囲は,15インチの表示サイズをフルに使う304×228ミリだが,これはA4タイプのタブレットと同じ大きさだ。

 タブレットとしての性能が違うため単純に比較はできないが,同日に発表されたWACOM intuos2のA4タイプ「i-920」が5万2500円となっている。液晶ディスプレイに直接入力できるメリットも含めて,タブレット+高性能液晶ディスプレイ+αと考えれば,それほど高い買い物でもなくなる。

 当初,CGやCADの入力用途という限られたユーザーに使われていたペンタブレット(デジタイザー)も,最近ではアニメーションやグラフィックスの世界で多く使われるようになってきた。「ジュラシックパークやタイタニックといったCGを駆使したハリウッド映画には,当社のデジタイザーが9割以上使われている」(恵藤社長)。

 10万円台機を市場に投入して,コンシューマ市場での“液晶ペンタブレット”認知を高めたい同社。「液晶タブレットは,1〜2年以内に当社の主力商品となっていく」と語り,今回の新製品にかける期待も大きい。

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[西坂真人, ITmedia]

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