News 2001年10月5日 09:38 AM 更新

次世代型光ディスクレコーダーの“ブルーな夜明け”

CEATECでは,青色レーザーを使った大容量光ディスクレコーダーが各社から参考出展されていた。ただ,気になるのが,例によっての2陣営に分かれての規格の対立だ。

 光ディスクレコーダーでは現在,「DVD-R/W」と「DVD-RAM」の両方式が“ポスト・ビデオデッキ”の座を争っている。だが,両方式とも現行の地上波放送画質の記録を前提にしており,デジタル放送の高画質を録画するには力不足だ。

 このデジタルハイビジョンのフル映像を記録できる大容量光ディスクレコーダーが,青色レーザーを使った次世代型光ディスクレコーダーだ。CEATEC JAPAN 2001でも,このピックアップに青色レーザーを利用した製品が,各社から参考出展されていた。

 ただ,同時に目立ってしまったのが,例によっての規格対立だ。「DVR-Blue方式」と「2層相変化RAMディスク方式」という異なる2つの規格が,青色レーザー製品として展示されていたのだ。

23GBのDVR-Blueはソニー,パイオニア,シャープ

 DVR-Blue規格の光ディスクレコーダーを出展していたのはソニー。このDVR-Blueでは,405ナノメートルという短い波長の青色レーザーを使い,片面1層記録で約23Gバイトの記録を行える。メディアは保護ケースに入っている。

 23Gバイトという大容量で,デジタルハイビジョン映像を約2時間,SD画質(長時間モード)なら約12時間の長時間録画が行える。


ソニーはDVR-Blue規格の光ディスクレコーダーを出展

 参考出展されたレコーダーは,高さこそビデオデッキの2倍近くはあるが,幅や奥行きはビデオデッキ並みで,昨年のCEATECで参考出展したものより,だいぶ製品らしくなってきている。同社では2年以内に商品化する予定だという。

 ソニーと共にDVR-Blue規格に力を入れているのが,パイオニアだ。同社は1991年にSHG青色レーザーを使った次世代光ディスクに着手。1999年にはCEATECの前身となるエレクトロニクスショーで,青色レーザーによる再生システムを早くも展示している。

 同社ブースに展示されたDVR-Blue規格の次世代光ディスクレコーダーは,青いパネルが印象的な未来的デザインのものだ。パネルやモニターを使っての説明も熱心で,次世代光ディスクにかける意気込みが伝わってきた。


未来的デザインのパイオニアの光ディスクレコーダー

 そのほかではシャープが「次世代ハイビジョンディスク」として試作機を参考出展していた。DVR-Blue規格のメディアを本体の横に並べてあるので,ソニーやパイオニアと同方式なのが分かる。しかし「次世代光ディスクレコーダーの規格自体がこれから定められていくので,どの方式にするかは未定」(シャープ担当者)とのことだった。

 そんな事情があってか,試作機自体も,同社ブース内をかなり探し回らないと見つからないような場所にひっそり展示されていた。


ひっそりと展示されていたシャープの試作機

50GBの2層相変化は松下,日立,東芝

 一方,松下電器産業ブースでは,2層相変化RAMディスクで50Gバイトの大容量を実現したデジタルハイビジョン光ディスクレコーダを参考出展していた。デジタルハイビジョンの高画質映像を4時間録画できるという。今のところ技術,コストの両面で課題が多く「商品化は,3〜4年先」(同社)という。

 同社が採用しているSHG方式の青色レーザーは,赤外レーザーの波長を半分に分解することで,410ナノメートルの短波長を作り出している。さらに同社が開発したSHG方式は,30ミリワット以上と,従来の青色レーザーに比べて高出力が可能だ。


松下は2層相変化RAMディスクで50Gバイトの大容量を実現

 この松下方式は,日立,東芝,日本ビクターのDVD-RAM陣営が採用を明らかにしている。

 その中の1社である日立ブースでは,松下電器と同規格の光ディスクレコーダーを参考出展していた。展示されていた試作機はまだモックアップに近いものだが,PDPで次世代光ディスクの解説を行うなど,他社の展示と比べてもアピール度は高かった。DVDビデオカメラなど光ディスク分野に注力している同社としては,次世代光ディスクレコーダーの分野で遅れはとりたくないのだろう。


日立が参考出展した光ディスクレコーダー

 DVDの規格は,AVメーカーなどが加盟する「DVDフォーラム」で標準化が進められている。DVD-RWやDVD-RAMも,ここで定められた規格だ。

 ただ,青色レーザーを使った次世代光ディスクレコーダーに関しては,標準化はまだこれからの状態。記録方式や容量など具体的な規格はまだなにも決まっていない。

 単純に容量の面だけを見れば,松下電器などが進める2層相変化RAMディスクの50Gバイトが有利だろう。しかし「50Gバイトを実現するためには,45ミリワットの出力が必要」(松下電器)と自ら認めるように,同社開発のSHG方式で可能にした30ミリワットの高出力でも,2層目の記録層にレーザーを届かせるまでの出力には至っていない。この面でのブレークスルーがないと,商品化は当面厳しそうだ。

 一方のDVR-Blueは,現在のところ23GBの容量となっているが,こちらも多層化によって将来的には40〜50GBの容量を持たせることも可能となっている。

 しかし,ある部品メーカーによると「現在の青色レーザーは,5ミリワットの出力で数百時間という寿命のレベル。実際に書き込むためには30ミリワットは必要で,寿命を含めても到底実用段階ではない」という。

 いまさら言うまでもないが,かつてのベータ対VHSや最近のDVDレコーダーのように,規格が統一されないのは,ユーザーにとっても迷惑な話。しかも,今回の場合,対立している場合ではない“技術的な課題”が,実用化の前に横たわっている。

 様々な思惑が各メーカーにあることはわかる。だが,間違いないのは,デジタルハイビジョン時代がもうすぐそこまで来ているのに,その受け皿となる光ディスクレコーダー規格が用意されていない,ということだ。できうれば過去の怨讐を捨て,業界が一丸となって,一刻も早い実用化に向けて努力して欲しいものである。

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[西坂真人, ITmedia]

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