News 2001年10月12日 11:40 PM 更新

FOMAの使い心地(スタンダードタイプ端末編)

 先週に引き続き,FOMAの話をしよう。

 データ通信カードFOMA P2401に関しては,料金の高さに目をつぶれば(これは大きな問題だけど),そのパフォーマンスにはすこぶる満足している。サービスエリアに関しては,覚悟の上だし,これは時間が解決してくれるだろう。

 が,同時に購入したもう一台の端末,スタンダードタイプのFOMA N2001に関しては,かなりのイライラを感じている。

 まず,バッテリが持たない。標準セットにはスペアのリチウムイオンバッテリパックが付属するので,やけに親切だなと思っていたけれど,とんでもない話で,フル充電の状態で朝自宅を出ても,夕方,暗くなる頃にポケットから出してみると液晶が真っ暗。つまり,バッテリ切れを起こしているのだ。

 購入後,今まではドッチーモのiモードに転送していた電子メールを,FOMAに転送するように設定変更した。ぼくは,ほとんど携帯電話での音声通話をしないので,トラフィックの多くは,平日60通前後受信する電子メールだ。携帯端末を使ってメールを書くこともほとんどないので,もっぱら受信オンリーだ。

 こういう,携帯ユーザーとしては,あまり熱心ではない使い方をしていて,ビジネスアワーを電池交換なしで過ごせないのだ。頻繁に電話を発着信するユーザーは,2つめの電池を持っていても不安だろう。

 FOMAのiモードメールは,サイズの上限が全角5000文字となったので,かなりの量のメールでも大丈夫だ。全角5000文字は10Kバイト。パック80のパケット料金に換算すると約1.5円だ。長いメールがどんどんきても,ぼくの場合,1日50円前後といったところだろう。また,@MENUのオプション設定で,サイズの上限を自分で指定でき,全角1000文字,2000文字,3000文字,4000文字,5000文字を選択できる。

 384Kパケットでのインターネット接続時のデータ通信量に比べれば,メールのトラフィックなど,微々たるもので,料金的にも実にリーズナブルだと思うが,多少はケチって,ぼくは2000文字を上限に設定している。これで足りないメールは,5000文字でも足りないことが多いからだ。

 FOMAのiモードは高速で快適かというと,取り立てて言うほどのこともないと思う。まず,最初のiモード接続自体に,すごく時間がかかる。今,計ってみたら8秒かかった。11秒かかる手元のドッチーモに比べれば,多少は速くなってはいるが,なんだか五十歩百歩じゃないだろうか。

 コンテンツの閲覧はそれなりに快適だ。今までのiモードが28.8Kbpsモデムだとしたら,FOMAは128Kbpsの専用線といったイメージでブラウズできる。ぼくは,ずっとモノクロのドッチーモでiモードを使ってきたので,せっかくカラーになり,転送速度が高速になっても,その恩恵を受けられるようなサイトの利用率が低い。

 この点を重視する方にはすごく快適かもしれない。通話中もiモードが使えるマルチアクセス機能なんかは,電話代のことさえ気にしなければ,かなり便利だ。

 また,この端末は,電池を食わないという有機EL液晶を採用している。表示は,リフレッシュレートがちょっと低く,多少ちらつきを感じるが,かなりきれいだと思う。また,ディスプレイの左下には,センサーが用意されていて,周りの明るさに応じて表示輝度が調節されるようになっている。でも,最大限明るくなっていても,屋外ではほとんど表示を読みとれない。

 今,FOMAは,地下街などでは,まず使えない状態なので,地下鉄の階段を上がり,屋外に出たところで,さてメールをチェック,ということになるわけだが,メールが届いたことはバイブやサウンドでわかったとしても,その内容が読めない。

 いや,下手をすると圏外かどうかもわからない。手で覆うようにして光を遮り,ようやく文字が書いてあるのが見えるといった程度だ。笑い話のようだが,本当の話だ。これは,いくらなんでもひどいと思う。

 また輝度の更新頻度が低く,即座に反応しないので,イライラさせられる。だから,ぼくは「自動」ではなく「高」に設定してある。ただ,それでも読めないという点は同じだ。

 音声通話に関しては,確かに音はよいと思う。PDCのハイパートークに比べれば,S/Nもあがったし,耳で聞いた感じでは周波数特性も広がったように感じる。が,それも電波状態次第という面があって,悪いときには,PDCと変わらない。でもPDCほど悪くはならない。ただ,これならPHSでいいやとも思うのだ。

 気になるのは,息つぎなどで,会話がとぎれたときに,まるで無音のときのように情報がカットされてしまう点。一瞬,切れたのかと思ってしまう。この感じはノイズキャンセラーをオフにすると多少ましになるのでこの機能を使う,使わないは悩ましいところだ。

 端末としての使い勝手は悪くない。でも,日本語入力の編集場面でバグが散見されたり,操作のレスポンスなども,決してよいとはいえない点で完成度は低い。ぼくは,同じNECのN821iというドッチーモ端末を使っているので,どうしても比べてしまうのだが,操作レスポンスは,1年前の旧機種の方がいいと思う。

 結局,毎日,2台の端末を身につけて生活しているのだが,モニター期間中にブラッシュアップしたのが本当なのかと思うくらいに未完成な端末だ。電池パックの立て付けが悪くギシギシといった音がする。そんなところまで気になってしまう。

 新しいサービスと新しい端末ということでリスクは承知の上で購入したのだ。多少の不便は仕方がない。だとしても,これはないんじゃないのかと,正直,ちょっとあきれているところだ。とりあえず,ぼくは,この端末を誰にもすすめはしない。

[山田祥平, ITmedia]

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