News 2001年10月17日 11:59 PM 更新

ビクター,髪の毛1本1本まで見える高精細テレビ「1500i」を発表

日本ビクターが,独自の高精細技術を使ったTVを発売する。ハイビジョンを上回る1500本の走査線を持っており,マルチ画面やデータ放送といった情報量の多い映像で威力を発揮する。

 日本ビクターは10月17日,独自の高精細技術「DET(Digital Emotional Technology)」を搭載した高精細TV“1500i”シリーズ「AV-36Z1500」「AV-32Z1500」の2機種を発表した。地上波アナログ放送からBSデジタルハイビジョン放送まで,さまざまな信号フォーマット(525i/525p/750p/1125i)をハイビジョン放送を上回る1500i(1500本の走査線でインターレス)で表示することができ,高精彩な映像を楽しむことができる。11月中旬より発売する。


高精細技術「DET」を搭載した高精細TV“1500i”シリーズ

 1500本の走査線が生かされる例として分かりやすいのは,マルチ画面での活用だ。

 昨年からスタートしたBSデジタル放送を筆頭に,来春開始予定のCS110度デジタル放送,また2003年には地上波デジタル放送も始まるなど,チャンネル数は今後もますます増えてくる。

 このような多チャンネルを選択するときに便利なのが,画面を分割して1画面に多くのチャンネルを映し出すことができるマルチ画面だ。最近のTVには,マルチ画面機能を搭載したものも多い。しかし,もともと少ない走査線に多くの画面を表示するので映像も粗くなり,かろうじて番組の確認ができる程度でしかない。


通常のTVでは,マルチ画面時に映像が粗くなってしまう

 例えば,現行放送やDVD映像では,縦に3つ並べるマルチ画面にすると1つの子画面の走査線は175本(有効走査線160本)となる。いくらTV自体が大画面になろうとも,走査線の本数が増えなければ,映像は粗いままだ。

 それが,1500本の走査線を表示できる今回の新製品では,3分割した子画面1つの走査線が525本となる。つまり,全画面表示で見るのと同じ走査線となるわけだ。「従来TVではイメージとしてしか認識できなかった子画面が,“情報”として利用できるようになる」(同社)。


マルチ画面の子画面が,イメージではなく“情報”として利用できる

 今後増えてくるデータ放送にも,この高精細TVは有利だ。データ放送では,1画面に映像と文字情報を同時に表示するため,どうしても映像はマルチ画面の子画面のように小さくしなければならない。この時にも,マルチ画面時と同様に1500本の走査線が生きてくる。

 もちろん,通常の地上波アナログ放送やBSデジタル放送,DVDの映像なども高精細になる。「髪の毛の1本1本や目鼻立ちといった細かい部分がはっきり見えてくる。結果的に全体がスッキリした画面となる」(同社)。


髪の毛の1本1本がはっきり分かり,結果的にスッキリした画面となる

 また,従来のTVでは,ビル窓枠などといった斜め方向の線がある映像にジャギー(ギザギザ感)が出てしまっていた。このような現象は,走査線の少なさが原因なので,今回の新製品ではこのジャギーが減少している様子がはっきりと分かる。


斜めの線となる窓枠の映像などはジャギーが出てしまうが……


1500iでは,ジャギーがほとんど目立たないレベルになっているのが分かる

 さて,1500本の走査線となると,PC画像の高解像入力に期待が高まる。しかし残念ながら,今回の製品にはRGBの入力はない。

 「DET技術自体はPC入力にも対応しており,今回の製品にもPC入力の内部回路は搭載されているが,ニーズが少ないという理由から,今回はRGB端子を搭載しなかった。次期モデルでは,検討したい」(同社)。

 主な仕様は以下の通り。

型名 AV-36Z1500 AV-32Z1500
画面サイズ 36型 32型
ブラウン管 リアルフラットファインピッチブラウン管
サイズ(幅×高さ×奥行き) 962×624×593ミリ 848×543×542ミリ
重さ 77.1キロ 56.5キロ
消費電力 201ワット 194ワット
インターフェース S映像入力×4,ビデオ入力×4,D4入力×3,モニター出力×1
価格 34万円 29万円

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[西坂真人, ITmedia]

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