News 2001年10月19日 11:59 PM 更新

ARM,次世代アーキテクチャ「ARMv6」を国内発表

米ARMの幹部が来日,次世代アーキテクチャ「ARMv6」の詳細と製品ロードマップを国内発表した。同プロセッサは従来のARM製品との互換性を保ちながら,マルチメディア機能を大幅アップさせており,2002年中にも搭載製品がリリースされる見通しだ。

 ARMは10月19日,次世代アーキテクチャ「ARMv6」を国内発表した。この新アーキテクチャは,米カリフォルニア州サンノゼで先日開催されたMicroprocessor Forum(MPF)でその技術詳細が明らかにされたものだ。同社はまた,ARMv6アーキテクチャに基づく新しいロードマップも公開した。


ARMv6アーキテクチャに基づくロードマップ

 ARMv6は,これまでのARM搭載製品とコード互換(後方互換)を保たせながら,メディア処理性能を向上させている。これは新たにSIMD(Single Instruction Multiple Date=単一命令複数データ処理)機能を追加したことによる。

 「SIMDは1つの命令で4つのピクセルを処理できるので,1ピクセル当たり8ビットで扱われるような画像処理に特に効果を発揮する」(同社)。ビデオや音声の処理性能は従来の4倍に向上できるという。「SIMDの採用した例はほかにもあるが,単3電池で駆動できるような省電力プロセッサでの採用はARMv6が初めて」(同)だ。

 このARMv6アーキテクチャは,次世代の携帯電話/PDAなどに採用される。「携帯電話では,3Gの中でもビデオ画像処理ができるようなハイエンド機に,またPDAならば最先端の機能を備えたものに採用されるだろう」(同)。

 ARMv6アーキテクチャを採用したプロセッサは,2002年中に同社ライセンスを受けたメーカーから出荷される予定だ。

 会見には同社会長のRobin Saxby氏とアーキテクチャ・プラグラムマネージャーのDavid Brash氏,そして日本法人社長の石川滝雄氏が出席した。今回,来日した同社会長らは,10月18,19日の両日を使って,国内のARMパートナー向けのカンファレンスを行い,ARMv6アーキテクチャの説明を行っている。


会見に臨む石川社長(左),Brash氏(中央),Saxby会長(右)

 ARMアーキテクチャをベースにしたプロセッサは,現在,主流となっている携帯機器のほとんどで採用されている。iPAQに代表されるようなPDAや携帯電話はもちろん,デジタルカメラやプリンタなどイメージング製品にも多く使われている。

 さらに,Microsoftが先日,新バージョンのPocket PCではStrongARMのみをサポートすることを明らかにした。PalmもARMベースのプロセッサへと移行を表明するなど,ARMアーキテクチャの普及は今後もさらに進むと見られている。

 「我々のアーキテクチャに基づいたRISC型プロセッサは,今日最も普及したマイクロプロセッサとなった。携帯機器だけでなく,ゲームボーイアドバンスのようなゲーム機やHDDにも搭載されている」(Saxby氏)


多くの携帯機器でARMアーキテクチャをベースにしたプロセッサが採用されている

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[西坂真人, ITmedia]

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