News 2001年10月23日 08:11 PM 更新

全国“マイクロソフト”推進計画

中小企業のIT化を支援する「全国IT推進計画」を打ち出したマイクロソフト。全国のITベンダーを組織化し,中小企業包囲網を形成する考えだが,果たして,計画終了後には中小企業はマイクロソフト製品一色になっているのだろうか?

 マイクロソフトが,日本の中小企業を変える!? 10月23日に同社が打ち出した「全国IT推進計画」は,中小規模の企業を対象に業務のIT化を支援しようというもの。政府の「e-Japan重点計画」に含まれる「中小企業を対象としたIT講習」が2001年度で終了することを受け,マイクロソフトがその後を引き継ごうというわけだ(もちろん,自主的にである)。期間は2年間。

 全国IT推進計画の推進メンバーである眞柄泰利取締役によれば,同計画における最大のテーマは,「ラストワンメートル」にある。ラストワンメートルとは,PCとユーザーの間の距離のことを指すという。「中小企業の経営者に,ITの利便性を伝えたい。FAXよりも,サーバのほうが便利だと分かってもらいたい」(眞柄氏)。

 眞柄氏によれば,全国の中小企業のうち,同計画の対象となるのは100万社。「そのうち,20〜30%は取り込みたい。上手くいけば50%はいけるかもしれない」と話す。ちなみに,同氏の「取り込みたい」という言葉は,中小企業にマイクロソフトのサーバ製品を購入してもらうことを意味する。ただ,マイクロソフトだけで100万社に対して営業をかけるのは至難の業である。

 そこで登場するのが,全国47都道府県に散らばる「マイクロソフトIT推進全国会メンバー」である。メンバーになるには,1.サーバ事業を行っているITベンダー,2.MCSE(Microsoft Certified System Engineer)が1名以上在籍,もしくは「IT推進全国会専用トレーニング」に参加(1社2名以上)という条件を満たすことが必要だ。

 認定されるとマイクロソフトから阿多親市社長の署名が入った「IT推進全国会会員之証」が授与される。なお,既にこの基準をクリアした172社がメンバーと認められており,11月末までに250社に増強される見込み。マイクロソフトではメンバー企業を組織化し,全国的な中小企業包囲網を形成する構えだ。

 また,このIT推進全国会メンバーは,IT推進全国会の趣旨に賛同するパートナー企業とともに活動することになる。パートナー企業は「協賛パートナー」と呼ばれ,10月18日時点でデルコンピュータ,東芝,NEC,富士通,プロサイド,シマンテック,大塚商会,リコー,三井物産など,ハード,ソフト,流通業界から22社が名を連ねている。

 さらにマイクロソフトは,「マイクロソフトIT実践塾」を全国50カ所で展開し,メンバー/パートナーをバックアップする。これは,全国IT推進計画が展開される2年間の間に,1万名の経営者に対し,ITに関する啓蒙活動を行うほか,4万名の実務担当者に対して実践的なトレーニングを行うというもの。トレーニング終了後には,IT推進全国会と同様に,阿多社長の署名入り「修了書」が送られる。

 眞柄氏は計画の見通しについて,「これまで100社以上のベンダーの声を聞きき,それを計画に反映させた。プログラムの内容は,中小企業のIT化に最適化されている」と強調する。これに,オールドエコノミーのIT化を掲げてインスパイアを立ち上げた成毛眞前マイクロソフト社長が加われば,鬼に金棒といったところか。

関連リンク
▼ マイクロソフトの「全国IT推進計画」ページ

[中村琢磨, ITmedia]

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