News | 2001年10月24日 08:08 PM 更新 |
日本サムスン,プロ・テクト,伊藤忠ファインケミカルの3社は10月24日,液晶タッチパネルモニタ「SynMaster 151Sタッチパネルモデル」を発表した。液晶ディスプレイでタッチパネル機能を搭載しながら,実売7万円台という低価格となっている。製造および販売はプロ・テクトが行う。11月1日より発売する。
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液晶タッチパネルモニタで実売7万円台のSynMaster 151Sタッチパネルモデル |
液晶は15型のアモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイで,解像度は1024×768ピクセル,最大約1619万色の表示が可能だ。
タッチパネル部は,アナログ抵抗膜方式を採用している。同方式はFA環境でのインタフェースとして実績があり,耐久性に優れ,ローコストにできる点が特徴だ。一般的には,他の方式(超音波方式,静電容量式など)と比べ,表示輝度が劣るといわれているが,新製品では250カンデラ/平方メートルという十分な輝度を確保し,視野角も上下120度左右140度となっている。
タッチパネル機能を使うためには,RS-232Cケーブルを経由してPCと接続する。マウスとして認識されるため,OSに依存せず,特別なソフトウェアを導入することも不要だ。1タッチで1クリックしたことになり,2回タッチすることで,ダブルクリックもできる。指のほか,ペンなどでも入力可能だ。
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マウス操作が指やペンで可能。ダブルクリックも2回タッチするだけ |
新製品の最大の特徴は,やはりその価格だ。従来,15型で15万円前後だった液晶タッチパネルモニタが,直販価格で7万9800円と既存製品のほぼ半額で手に入ることになる。
昨年から今年にかけて,液晶ディスプレイの価格は大きく下がって普及率も高まっている。しかし,年間400万台と言われる液晶ディスプレイ市場の中で,タッチパネル製品の占める割合は,わずか2〜3%程度。つまり,本格的な競争が始まっていないため,普通の液晶ディスプレイに比べるとまだまだ高価だった。
今回3社が手を結んだのは,この割高だったタッチパネル液晶ディスプレイのコストダウンはかるためだ。液晶パネル/モニタでトップシェアを誇るサムスン電子の日本法人・日本サムスンだが,タッチパネル方式はこれまでなかった。一方,FA機器用のタッチパネル製品で実績のあるプロ・テクトには,コンシューマ向けの販路や大量生産のノウハウがない。そこで,両社に取引実績があった伊藤忠ファインケミカルが仲を取り持ち,今回の提携を実現させた。さらに,伊藤忠ファインケミカルは資材調達や販売などの商社機能を提供,コストダウンに寄与している。
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握手を交わす3社の首脳。左から伊藤忠ファインケミカルの浅野利弘社長,日本サムスンの黄春澤常務,プロ・テクトの菅原正社長 |
さて,この新製品だが,低価格で高品質をセールスポイントに,どのような市場を狙っていくのか。
既存市場としては,業務用インタフェースとしてのマーケットがある。制御/監視システム向けといったFA機器用途のほかにも,宅配業者,美容院,ホテル,結婚式場などでも利用が進んでいる。だが,ここは既存製品も多く,単に安いからといってすぐに大量ニーズに結びつくわけではない。
3社が狙う最大のターゲットは,マウス,キーボードなどが苦手な高齢者だ。「PC操作が苦手なユーザー層向けで,タッチパネルの需要は大きく伸びていく」(プロ・テクト)と見ている。
こういったエンドユーザーには,日本サムスンが持っているPC・家電の販売ルートを使って,積極的にアプローチしていく。さらに,今回の製品を皮切りに,大画面化やさらなる低価格商品などタッチパネル液晶製品のラインアップを拡充していく構えだ。
主な仕様は以下の通り。
製品名 | SynMaster 151Sタッチパネルモデル |
液晶 | 15型TFT液晶 |
画素ピッチ | 0.297ミリ |
輝度 | 250カンデラ/平方メートル |
コントラスト比 | 300対1 |
視野角 | 上下120度,左右140度 |
最大解像度 | 1024×768ピクセル |
最大表示色数 | 約1619万色 |
サイズ | 392(幅)×384(高さ)×173(奥行き)ミリ |
タッチパネル | アナログ抵抗膜方式 |
入力方式 | ペン,指など |
通信インタフェース | RS-232C |
対応OS | Windows 95/98/2000/NT4/Me/XP |
価格 | オープン(プロ・テクト直販価格7万9800円) |
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