News 2001年10月25日 09:22 PM 更新

「好きやねん」が変換できる――ジャストが「ATOK15 for Windows」を発表

多様化する表現の中で,地域差の代表格“方言”に取り組んだ新しいATOK。方言の中でもニーズが高い“関西弁”に対応させた「話し言葉関西モード」を搭載した。

 ジャストシステムは10月25日,日本語変換ソフト「ATOK15 for Windows」を発表した。方言対応第一弾として関西弁変換に対応したほか,LAN環境で別のPCの辞書を共用できるなどネットワーク利用時の新機能を搭載した。来年2月より発売する。価格は未定。


関西弁変換に対応したATOK15 for Windows

 日本語変換システムの草分けで,WindowsにIMEが標準搭載されているなかでも根強い人気を誇るATOK。その最新バージョンであるATOK15のコンセプトは「ひとりひとりのATOK」だ。

 単に“日本語”と言っても年齢(世代)や時代,地域,所属する集団などによって,言葉の表現は変化する。同社では,話し言葉と書き言葉といった文体差に対応した「話し言葉優先モード」をATOK10で採用し,文語/現代語/トレンド語といった時代差に対応した「トレンド辞書」や集団差に合わせた「専門用語辞書」をATOK14で用意するなど,表現の多様性に合わせてATOKに改良を加えてきた。

 このような多様化する表現の中で“地域差”への取り組みを図ったのが,今回のATOK15だ。表現の地域差と言えば,各地のお国言葉「方言」。ATOK15では,その方言の中でも,使用ユーザーが多く,ニーズも高い「関西弁」にフォーカスし,従来の「話し言葉機能」を関西弁に対応させた「話し言葉関西モード」を搭載した。


話し言葉に対応したATOK15のアーキテクチャ概念図

 例えば,「今日大阪ドーム一緒に“いかへん”」という関西弁の話し言葉の時,従来システムでは“以下変”と誤変換してしまうのを“行かへん”と正確に変換し,「すきやねん」なら“隙や念”ではなく“好きやねん”と変換してくれる。この話し言葉モードは,使用アプリケーションに応じて自動的に切り替えることも可能だ。


話し言葉関西モードの変換例

 同社では,方言についてコミュニケーションできるWebサイトを,発売と同時期となる来年2月にオープンする予定。さらに今後の展開としては,方言の対象地域を九州,中部,東北など全国に拡大していき,各地域ごとのランドマークやプレイスポット,固有名詞といった「ご当地辞書」などもサポートしていくという。

 「これまでのATOKは,ビジネス用のドキュメントを書くためのものだった。しかし,近年はメールやチャットなどで話し言葉が多くなってきた。言葉というのは,アイデンティティを表す。日本全国のユーザーひとりひとりが満足できるATOKを今後も目指していく」(浮川和宣社長)。

 ATOK15には,このほかにもLAN環境で公開された他のPCの辞書を取得して利用できる「ATOK LAN Extension」や,Excel関数を「切り捨て」「平均」「今日」といった“言葉”で呼び出すことができる「Excel関数入力支援機能」,慣用表現や経済・ビジネス用語など多くのストロークが必要な言葉を推測してウィンドウ表示する「推測変換機能」など,入力支援機能を強化している。


「今日」と打ち込めばTODAY関数が挿入され,今日の日付が入力できるExcel関数入力支援機能

関連記事
▼ 「ATOK15 for Windows」,来年2月発売

関連リンク
▼ ジャストシステム

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.