News 2001年11月2日 11:33 PM 更新

“極小”犬型ロボットの駆動システムは,デジカメのピントも合わせる――マイクロマシン展

極小機械や超精密・微細加工に関する展示会「マイクロマシン展」。携帯電話やデジカメなど小型化が進むエレクトロニクス製品への応用技術が数多く紹介されていた。

 極小機械や超精密・微細加工といった“小ささ”をウリにした展示会「マイクロマシン展」が,10月31日から11月2日にかけて開催。携帯電話やデジカメなど小型化が進むエレクトロニクス製品への応用技術が数多く紹介されていた。

 キヤノン電子のブースでは,大きさが10ミリほどの犬型ロボットを展示していた。胴体の部分にある小型のステッピングモーターの回転を4本足の歩行運動に変えて,前後に動くデモを行い,来場者の注目を集めていた。


小型モーターで動く犬型ロボット。ボールペンの先と比較してみると小ささが分かる

 犬型ロボットに使われているモーターは外径6ミリのタイプ。ブースでは3.9ミリの製品も展示していた。このサイズでも,今回の展示会で出展されているモーターの中ではさほど小さい部類ではないというのが驚きだが,同社のは,いずれも量産品なのが特徴。「月産数万個という量産タイプでは,最小の部類。デジカメやDVカメラのオートフォーカス/ズーム機構に使われている。光ディスクドライブの薄型化へも応用できる」(同社)。


ブースでは,CD-R/Wドライブへの応用を提案していた

 小型の駆動システムとして,アクチュエータの展示も多い。ミノルタやミノルタコンポーネンツは,超小型のアクチュエータ「SIDM(Smooth Inpact Drive Mechanism)」を展示。SIDMにレンズとCMOSセンサーを組み合わせた超小型ズームカメラを提案していた。


1円玉の上に乗ったSIDM

 展示していたのは,光学3倍ズーム(33〜99ミリ)のシステム。CMOSセンサーは10万画素で,288×352ピクセルの解像度で撮影できる。サイズが9×14.5×17ミリと非常に小型なため,デジカメ用としてではなく,携帯電話やPDAといった小型携帯端末への組込み用としてアピールしていた。来年中には出荷するという。光学3倍ズーム付き“写メール”が登場する日も近そうだ。


光学3倍ズームを搭載した超小型ズームカメラ

 三菱電機では,8万画素(320×240ピクセル)の非冷却赤外線センサを使った赤外線カメラでの撮像デモを行っていた。同社の非冷却赤外線センサーは,SOI(Silicon On Insulator)基板上に形成したPNダイオードを使っているため,Si半導体と同じラインで生産ができ,大幅なコストダウンを可能にする。同社の表面マイクロマシニング技術によって高断熱・高開口率構造が可能となった。


非冷却赤外線センサを使った赤外線カメラ

 赤外線カメラは主に監視用などで使われているが,キャディラックに搭載されて話題となった「ナイトビジョン」など車載向けとしての利用も期待されている。生産ラインの共用化でコストダウンが図れる同社の技術は,会場でも注目を集めていた。「熱に反応する赤外線カメラは,外科手術後の血管バイパステストなどにも応用できる。デジカメメーカーからも接触があった」(同社)。


赤外線は熱に反応するため,服の上に置いた手の形が残っているのが分かる

 ファナックのブースでは,1ミリの金の塊に能面が彫られている微細切削技術を紹介。この能面自体は,すでに数年前に紹介されたものだが,それでも目を凝らして熱心に覗き込む来場者の姿が多かった。現在の加工技術では,もっと小さく細かな加工ができるとのことだが「実際のビジネスが忙しく,それどころではない」(担当者)という。


1ミリの金塊に能面が彫られている

 今回,展示に遊び心が感じられたのは犬型ロボットぐらいで,多くのブースではマイクロマシン技術が今のビジネスでどのように生かされるかといった現実的な展示が目立った。

 以前,世界最小の可動マイクロカーを展示していたこともあるデンソー担当者は「マイクロカーを出展したときに,来場者から“確かに凄いけど,何に役立つの?”と言われた」と話す。ちなみに同社ブースでは,小型情報機器向け回路モジュールに応用できる独自の積層実装技術など“ビジネスにつながる”提案を行っていた。


世界最小の可動マイクロカーはパネルでのみ紹介

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[西坂真人, ITmedia]

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