News 2001年11月6日 11:23 PM 更新

アニメ高度圧縮技術の「MorphInk」,3〜4年後には映像も

アニメーションの高度圧縮技術「MorphInk」。2000年末に発表された同技術だが,今年の年末あたりから動きが活発化してきそうだ。

 アニメーションの高度圧縮技術「MorphInk」を開発した米MorphInkのCEO(最高経営責任者)である市山謙一氏は11月6日,ハイパーメディアコンソーシアム主催の「PDAフォーラム」で講演を行い,同技術の今後のロードマップを明らかにした。

 Morphinkの技術は,ラスターフォーマットで作成したアニメを,ワイヤーフレームモデル化し,ベクターフォーマットに変換して圧縮をかけることで,高度な圧縮を実現。簡単なアニメーションなら,フルフレームレート(30fps)のものを1Kバイトで作成することもできる。


講演のため来日したMorphInk CEOの市山氏

 市山氏によれば,現在MorphInkでは,第2世代バージョンの開発に取り組んでおり,これは。FlashやEVAといったほかのベクターフォーマットのアニメーションを圧縮できるようになるという。

 「Flashデータを圧縮する場合では,10分の1のサイズを目標に開発を進めている。Flashで埋め込まれたマウスオーバーやサウンドの機能をそのままに,圧縮をかけることができる」(市山氏)。なお,MorphInkでは11月末にも第2世代版のデモンストレーションを行う予定。リリース時期は,2002年の第1〜第2四半期になる見込みだ。

 さらに,市山氏は「3〜4年後の市場投入を予定している第4世代バージョンでは,アニメではなく,動画も圧縮できるようになる。ストリーミング技術にも対応する予定だ」と説明する。映像圧縮の場合,MPEG-4と同等の品質で,圧縮率は3〜10倍にもなるという。

パートナーは20社程度に

 MorphInkは,こうした技術をパッケージで販売するわけではない。MorphInkの技術をライセンスし,パートナー企業が同技術を使ったサービスを提供することになる。「MorphInkはあくあまで基礎技術の開発会社。われわれは新技術の開発に注力する」(市山氏)。

 MorphInkでは当初より,携帯電話・PDA市場を同技術のターゲットに絞ってきた。非力なCPUでもサクサク動き,ダウンロード時間もかからないMorphInkベースのアニメーションは,こうしたデバイスに最適だと考えているからだ。


講演の中では,携帯電話やPDAを利用したデモンストレーションも。「33MHz版のDragonballでも,問題なくアニメーションを再生できる」(市山氏)

 市山氏によれば,現在,正式契約に至っているパートナー企業はなし。ただ同氏は,「話をしている20社くらいの企業から,好感触を得ている」と説明する。なお,具体的な企業名は明かされなかったが,MorphInkでは,DSPメーカーやPDA・携帯電話メーカー,通信事業者,コンテンツプロバイダーなどをパートナー企業として考えている。

 「MorphInkアニメの再生プレーヤは,J2ME版で10Kバイトだが,今後,さらに小型化する予定だ。また,米国ではJavaだけでなく,BREW上でのテストも行っている。iモードが登場したときには,壁紙ベンダーが潤ったが,MorphInkの登場によってそうした新しいサービスがいくつも生まれるだろう」(市山氏)。

 なお,MorphInkでは,日本法人を設立する予定はなく,同社のサポート要員を数人置くだけ。国内でのビジネス展開は,ハイパーメディアコンソーシアムを組織するハイコムやPIEと協力していく。

関連リンク
▼ MorphInk

[中村琢磨, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.