News 2001年11月7日 01:20 PM 更新

HP-Compaq合併に大きな「待った」――HP創設者の遺族が反対を表明(1)

投資家やアナリストから批判されているHPとCompaqの大型合併だが,HPの創設者であるWilliam Hewlett氏の家族も,合併に反対する意向を明らかにした。合併の認否が株主投票に持ち込まれた場合,承認される可能性は低そうだ。

 11月6日,Hewlett-Packard(HP)の創設者の1人,William Hewlett氏の家族が,Compaq Computerとの大型合併に反対する意向を明らかにした。

 William Hewlett氏の3人の遺児,Walter Hewlett氏,Eleanor Hewlett Gimon氏,Mary Hewlett氏,およびHewlett家の家族信託は,合併の認否が株主投票に持ち込まれた場合,反対票を投じるとの声明文を発表した。HPの取締役であり,William and Flora Hewlett Foundationの会長でもあるWalter Hewlett氏は,同財団も反対票を投じる決定を下したとしている。

 「財務顧問と慎重に協議を重ね,合併発表後の展開を検討した結果,反対票を投じることに決めた。HPはCompaqと合併するよりも,単独の企業として事業を展開した方が,株主に利益をもたらせると考えている」(Walter Hewlett氏の声明文より)

 家族信託,Hewlett Foundation,およびHewlett家が所有しているHP株は1億株以上で,これはHPの全株式の約5%にあたる。

 多数の投資家やアナリストがHPとCompaqの合併を批判しているが,Hewlett家による反対声明はそういった批判の中で最新にして最大のものとなる。先月には,HPとCompaqの株を所有しているMatrix Asset Advisorsが,両社の幹部に合併を止めるよう求める書簡を送っている。

 Matrixは反対の意向を表しているが,ほかの株主は不承不承,あるいは積極的に合併計画を受け入れている。Hewlett家が反対声明を発表する前は,ほとんどのアナリストが反対を受けても合併は実現するだろうと予測していた。

 今回の発表は,投資家やアナリストの支持を取り付けるために全米を駆け回っているHPのCEO(最高経営責任者),Carly Fiorina氏と,Compaq CEOのMichael Capellas氏にとって痛手となるだろう。

 9月に合併が発表されて以来(9月4日の記事参照),両社の株価は落ち込んでいる。当初は250億ドルだった買収金額も,HP株の下落と共に減少している。

 Hewlett家の合併反対のニュースに,発表当初から合併に批判的だった投資家は活気付いている。1株17ドルあたりで揺れていたHPの株価は,6日の発表がトレーダーの耳に届くなり,約15%上昇した。しかしCompaqの株価は49セント安の8ドル50セントにとどまっている。

 Hewlett Foundationが懸念を表明したことで,この合併計画を破談に持ち込もうとする勢力が,さらに拡大することになった。

 両社の取り決めでは,Compaqの株主には,1株につき0.63株の合併後の新会社の株が渡される。HPの現在の株価,19ドル70セントを基に計算すると,Compaq株は現行の株価よりも約50%高い,12ドル41セントで交換されることになる。このような評価額の格差からも,投資家が合併実現に懐疑的な見方をしていることがうかがえる。

 HPは合併に向けて努力を続ける旨のコメントを発表している。「Hewlett家の決定は非常に残念だが,特に驚いてはいない。HPの取締役,HP,そしてCompaqは引き続き全力で合併に取り組んでおり,株主の承認が得られるものと考えている」と同社はリリース文で述べている。

 Compaqの代表はこの件についてコメントを控え,合併に向けた取り組みは続けていると語るにとどめている。「合併の基本的な部分は変わっていない」とこの代表は語る。

合併反対の理由

 HPの取締役として,当初合併に賛成票を投じていたWalter Hewlett氏は,合併に反対する理由を長々としたリストに連ねている。第一に,Compaqの買収により,HPのPC市場への露出は大きく増えるが,PC市場は「成長も利益も見込めない」と同氏。第二に,合併により,現在株主が実入りのいいプリンタ/イメージング事業から得ている利益が薄められ,またハイエンド分野よりも利益の出ないローエンドサーバ事業の比重が増える。

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