News 2001年11月12日 10:04 PM 更新

新世紀のCOMDEXは“ナローバンド”!?

12日から開催されるCOMDEX/fall。しかし,今年はテロの影響で会場の様子がすっかり様変わりしている。たくさんの警備員が配置され,セキュリティチェックも厳しいことこの上ない。例年より来場者は激減しそうだが,それでも会場の移動などで混乱は必至だろう。

 いよいよ明日12日(米国時間)から21世紀初のCOMDEX/Fallが開幕する。これまでPCの発展とともに成長を続けてきたCOMDEX/Fallだが,今年はニューヨーク市でのテロの影響から厳戒態勢となり,かつてない厳しい警備状況の中で開催される。

 おかげで,開催前日の11日から始まったレジストレーションの時から,すでに,すべての行いに対して従来の何倍もの時間がかかる事態になっている。たとえば我々プレスのレジストレーションは,普段よりも遙かに少ない記者数であるにもかかわらず,1時間以上も列に並ばなければならない。またプレス向けのファシリティルームに入る際は,必ずバッグの中身を見せ,1人1人順番に中に入っていく。

 会場の周りを見渡せば,そこは警備員が訓練された犬を連れて,あちらこちらを巡回中。COMDEX会場の入り口には空港でお馴染みの金属探知器が置かれ,荷物チェック用のテーブルが並べられているが,その数は数えるほどしかない。数万人の来場者が殺到するメイン会場での話だ。明日からの混乱が容易に想像できる。


厳戒態勢のCOMDEX。セキュリティゲートの近くは数多くの警備関係者が警戒にあたっている

 一方,カメラやPCなどの荷物が必須であるプレス登録の混雑をよそに,あらかじめ手荷物の制限がアナウンスされていた一般来場者向けの登録テントは,いつものようなにぎわいがない。会場から見える場所にあるマリオットホテルの壁には,一面,Windows XPの広告が掲げられているが,派手な宣伝に対していつもとは違う寂しさが漂う。

 要人(この日はビル・ゲイツ氏)が登壇する基調講演会場へのアクセスはさらに大変だ。昨年,初日の基調講演チケットはプレス向けに会場近くでふつうに入手できたが,今回は食前に毎年行われているプレスミーティングに参加したメンバーにしか配布されない。しかも,ミーティング会場への入場にも写真付きの身分証明とバッグのチェックが必須。

 さらには当日,到着したばかりでプレスバッジをもらえていない場合は,ここでチケットを受け取っても,会場入り口のセキュリティチェックで入場を断られてしまう。別のプレスがバッジが入手できなかった理由を繰り返し主張していたが,例外はいっさい認められなかった。


基調講演にカメラなどを持ち込むプレス用入り口では,たった3つのゲートで荷物の中までチェック,長蛇の列が出来た

 また,例年と比較して著しく減っているのが,日本人を含む東洋人の数だ。欧州からのプレスの数はそれほど変わっていないが,日本人の数は激減した。これは来場者にも言え,ビル・ゲイツ氏の基調講演には,いつもは大量に見かける日本からの視察団がほとんど見あたらない。

 ブロードバンド時代に始まる新世紀のCOMDEXが,あらゆる場所への立ち入りを著しく制限されるナローバンドなオーガナイズによって運営されるというのも,なんとも皮肉な話である。メイン会場へのアクセス口が,わずか8つのセキュリティゲートという今年のCOMDEX。初日から人の流れに破綻が起きないのか。ハイテク産業がローテクで挑む,厳戒態勢時の運営にも注目が集まっている。


ドアの数ほどにしか用意されていないセキュリティゲート。21世紀のCOMDEX会場への道はナローバンド?

[本田雅一, ITmedia]

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