News | 2001年11月13日 11:56 PM 更新 |
先日,Mobile Athlon 4/1.2GHzを発表したばかりのAMDだが,COMDEX/Fall会場で同社モバイルマーケティングディレクターのGary Baum氏はインタビューの中で,来年投入するMobile Athlon 4の後継製品に消費電力を抑えたモデルの用意があることを明らかにした。
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モバイルマーケティングディレクターのGary Baum氏 |
AMDの計画では来年,0.13ミクロンプロセスで,Thoroughbredコアを採用する製品を,サーバ/ワークステーション,デスクトップPC,ノートPCそれぞれの市場に投入する。COMDEX/Fall会場内にあるAMDのミーティングルームでは,すでにThoroughbredコアの次期Athlonプロセッサが動作していたが,さらに来年後半にはSOI(Silicon On Insulator)技術を導入した新しい0.13ミクロンプロセスで製造するBartonが投入される予定だ。
Thoroughbredコアは現行Mobile Athlon 4のダイ面積128平方ミリの2/3以下に相当する80平方ミリに縮小され,消費電力の低下とクロック周波数の向上が見込まれている。このサイズは0.13ミクロン版Pentium 4の116平方ミリと比べても,かなり小さなサイズだ。Bartonのダイ面積はまだ不明だが,AMDによるとSOIによりさらに消費電力を抑えることができるとしている。
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左からThoroughbred、Athlon XP、Mobile Athlon 4。ダイ面積が明らかに縮小されているのがわかる。小型ノートPC用にはマイクロBGAパッケージも用意される |
Baum氏によると,Thoroughbredコア以降のMobile Athlonは消費電力を抑えることが可能なため,従来よりも小さいサイズのノートPC向けにも製品を展開するという。さらにBaum氏は筐体サイズ別にノートPCを4つに分け,デスクトップPCの置き換えをねらうフルサイズのノートPCはTDP(熱設計電力)で33〜37ワット,薄型ノートPC向けにはTDP25ワットの製品が必要。
さらに1スピンドルの薄型サブノートPC(インテルの製品で言えば低電圧版モバイルPentium IIIを搭載するノートPC)向けにはTDP16ワット,ミニノートPC(B5サイズ以下のノートPC)向けでは7〜10ワットのTDPに抑えなければならないと話す。
来年投入するMobile Athlon 4の後継プロセッサは,ミニノートPC向けのソリューションを用意できないと話すが,TDPで16ワットをターゲットとしたサブノートPC用のプロセッサは提供できるという。
小型のノートPCを得意とする複数のPCベンダーに話を聞いたところ,来年投入する製品のハードウェア構成は非常に選択が難しいという。Intel製プロセッサのハイエンドには,来年からモバイルPentium 4が投入される予定だ。しかし,モバイルPetnium 4はTDPが高く設計が行いにくい。
またモバイルPentium III-M用プラットフォームを併存させる必要があり,PCベンダーは在庫リスクが大きくなることも悩みを大きくする一因となっている。そうした中でTDPが下がるならば,との条件付きでMobile Athlon 4に興味を持っているという。
AthlonアーキテクチャはPentium IIIとPentium 4の中間的な規模であるため,プロセス移行とアーキテクチャの谷間となる来年は,Mobile Athlonにとって売り込みの絶好のチャンスとなるだろう。Thoroughbredの後にBartonが控えているため,将来的な製品計画を立てやすいという理由もある。
モバイル向けとしては,これまで性能はいいが熱いとの評価だったAthlonアーキテクチャだが,新プロセスで消費電力を抑え込むことに成功すれば,薄型ノートPCへの進出も可能になるかもしれない。
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