News 2001年11月13日 10:42 PM 更新

nVIDIA,低消費電力・高性能のモバイルグラフィックチップを発表

nVidiaは12日,GeFORCE2 Goに続くモバイル向けのグラフィックスチップを発表した。さらに高機能になっただけでなく,低消費電力・省スペースというノートPCに求められる性能も追求したのが,この製品の特徴だ。

 nVIDIAはCOMDEX/Fall会場近くのホテルで,昨年発表したGeFORCE2 Goに続く次世代のグラフィックソリューションを発表した。GeFORCE2ベースのレンダリングエンジンに新機能を追加し,GeFORCE3で採用されたLightning Memory Architectureや高速アンチエイリアス技術を搭載。0.15ミクロンプロセスで製造する。

 なお,同チップの正式名称は決まっていない(コードネームはNV17M)が,来年2月,東芝の新型ノートPCに搭載されて出荷が始まる予定だ。


32Mバイト版のNV17M。複数のシリコンをひとつのフリップチップに実装している。となりにあるのはルーレットの500ドルチップ


NV17Mを搭載予定の東芝製ノートPC

 昨年発表されたGeFORCE2 Goは,当時ノートPC向けグラフィックチップとしてはもっとも高いパフォーマンスを誇り,ノートPCで高性能3Dグラフィックは無理という声に答えてみせた。しかし,消費電力の大きさや強力なライバル製品などの影響もあり,決して商業的に成功したとは言い難いチップでもあった。

 新モバイル向けグラフィックチップでは,消費電力への要求を満たすため,新たにPowerMizerという省電力機能を搭載した。この機能は,3つの固定した動作モードがあり,ユーザー自身の選択,あるいは自動的にパフォーマンスと消費電力のバランスを調整する。速度調整はSpeedStepと連動して動作させることも可能だ。

 チップ内のモジュールごとに,個別にクロック制御を行い,動的な周波数の変化とそれに伴う駆動電圧の調整を行うことが可能で,DVD再生時のハードウェアサポートを増やすことでプロセッサ負荷を減らして省電力を実現することもできる。

 また,ほとんどのノートPCがXGAの解像度を採用していると指摘。これはデスクトップPCのゲームで使われることが多いUXGAの1/3のピクセル数にしかすぎない。そこで,GeFORCE 3で導入された高速かつ高品質なアンチエリアスアルゴリズムを採用し,60フレーム以上をアンチエリアス時に実現するという。

 NV17Mにはフレームバッファ用メモリは内蔵できないが,ひとつのフリップチップに複数のシリコンを実装することで,AGPカードの機能をひとつのチップとするMobile AGP Chip技術を採用しており,最大64Mバイトまでのフレームバッファを見た目に1つのチップに載せることが可能となっている。

 利用されるフレームバッファは128ビットあるいは64ビットのDDR SDRAM(最高転送サイクル250MHz)だが,隠れたポリゴンを消去するZ-cullという技術を採用することでメモリ帯域の問題をクリア。パフォーマンスは従来のGeFORCE2 Goの2.5〜4倍で,ATI Mobility RADEONの2倍以上になる。Windows XPが頻繁に利用しているトランスペアレントエフェクトのパフォーマンスも最適化し,こちらもMobility RADEONの2倍以上。


GeFORCE2 Goとのスペック比較


他製品との比較グラフ。もっとも高いパフォーマンスモードでもMobility RADEONと同程度の消費電力

 nVIDIA社長兼CEOのJen-Hsun Huang氏は「地球上でもっとも強力な製品であり,もっとも小さくインテグレートされ,薄く軽いノートPCにも利用できるグラフィックチップ。業界でもっとも長時間のバッテリライフも実現する」と自信を見せた。


新グラフィックチップを掲げるCEOのJen-Hsun Huang氏

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[本田雅一, ITmedia]

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