News 2001年11月14日 11:37 PM 更新

“ウルトラクール”なIntelのコンセプトPC――テーマは小型化と静粛性

Intel社内の研究機関「Intel Lab.」はプレス対象のイベントで,HPなどと共同開発した2台のコンセプトPCを展示した。

 Intel社内の研究機関であるIntel Lab.は,COMDEX/Fall開催中の13日,プレスを対象にしたレセプションイベントで,PCベンダーと共同開発した新コンセプトのPCを2台展示した。いずれもPentium 4/2GHzを搭載しながら,小型化と静粛性を向上させ,BluetoothやDVI,USB 2.0を活用した製品パッケージとしているのが特徴だ。

 中国最大のPCベンダーLegendと共同開発したTaishanは,15インチの液晶パネル下にExpansion Bayと呼ぶドライブユニットを配置したのが特徴。展示機にはDVDドライブが装備されていた。ドライブ筐体右脇には3つのUSB 2.0ポートも備えており,本体に内蔵するUSB 2.0で接続されている。液晶パネルの駆動は,もちろんデジタルインターフェイスのDVIだ。

 本体はロープロファイルPCI対応の拡張スロットが用意されており,オンボードでイーサネットやSPDIFデジタルアウト付きのサウンド機能などを備えている。チップセットはi850で,搭載されるプロセッサは0.13ミクロンのNorthwoodではなく,0.18ミクロンの現行型Pentium 4だ。


中国のLEGENDとIntelが開発したTaishan

 ハードディスクにSeagate Technology製の流体軸受けHDD「Barracuda ATA IV」を採用し,厳密な温度管理による冷却ファンのコントロールを行うことで,平時の騒音は23デシベルに抑えられているという。同様のコンセプトを採用したPentium 4機は半年から10ヶ月後に市販される予定とのことだ。Intel Labs.ではこのPCを開発するときに得られたノウハウを,元に小型PCの新しいフォームファクタ作りを進める。

 もう一台はHewlett-Packardとの協業で生み出した「Concept PC 2001」だ。こちらもディスプレイおよびドライブなどがPC本体とセパレートになっており,18インチの大型液晶パネル,CD-Rドライブ,カメラ,スピーカー,Bluetoothを一体化した薄型のユーザーインターフェイスパネルが特徴だ。

 このパネルとPC本体の接続には,DVIとUSB 2.0を利用したフラット形状の一体型ケーブルが採用されており,ケーブルの取り回しをシンプルにできる。PC本体側にはふたつのIEEE1394ポートも備えていた。


こちらはHPと共同開発した「Concept PC 2001」

 Taishanでもディスプレイ側に光学ドライブを移動させていたが,こちらはさらに徹底し,ユーザーがアクセスする必要のあるデバイスをディスプレイ側に移動させている。また,このユーザーインターフェイスパネルは薄型で壁掛けユニットや自在アームにも対応した設計になっており,ワイヤレスのキーボードやマウスと組み合わせることで机の上を完全にクリーンな状態に保つことができる。自在アームが使いやすいように,ユニット下にはハンドルバーが取り付けられた。

 インテルではパーソナル,そしてビジネスで利用するデスク環境を改善し,ユーザーの利用形態に合わせてコンポーネントの再配置を行うというコンセプトで開発したものだと説明する。そのために,机の上からPCに関わるハードウェアを完全に排除するフォームファクタを開発した。

 Concept PC 2001の本体は流体軸受け対応の2.5インチハードディスクドライブを採用し,現行Pentium 4/2GHzとi850チップセットの組み合わせながら冷却はパッシブヒートシンクで行っており,Taishanよりもさらに静粛性の高い23デシベルという低騒音を実現している。

 この2つのPCは「ウルトラクールコンセプト」とインテル社内で呼ばれるプロジェクトから生まれており,発熱が大きいPentium 4においても,効率の良い冷却を行うことで小型化や静粛性向上を目標に開発したものだという。光学ドライブなどをPC本体から遠ざけたことでPC内部もシンプル化が可能となり,空気の流れを阻害しないのもメリットとのことだ。

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[本田雅一, ITmedia]

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